・・・ ページ11
・
｢ごめん、ちょっと僕お呼ばれしちゃったから行くね。｣
｢ううん。昼休憩もそろそろ終わるし。｣
｢じゃあねざわくん。｣
｢うん、ばいばーい！｣
少年のように去っていく金澤の後ろ姿。
それを見つめる三嶋、福尾。
重役に就いているがこれでもまだ、20代半ばなのだ。
｢A、ちょっとだけ話しない？｣
｢いいけど……もう少しで休憩終わるよ。｣
｢真面目だね。そういうとこ好きだよ。｣
福尾が真っ直ぐ、真剣な表情で言う。
三嶋は眉間にシワを寄せる。
｢なんの話。｣
｢俺たち、付き合わない？Aのこと好きなの。｣
｢……は。｣
真っ白になる頭。
今、この男は、なんと言ったのか。
三嶋の脳がフル稼働する。
呆然としている三嶋を見て嬉しそうに笑う福尾。
｢急にごめん。返事はいつでもいいから。｣
そう言って呆気なく、立ち去って行ったのだった。
何が起きたのか。
さっぱり分からない様子の三嶋はただ、福尾の後ろ姿を見つめるばかり。
｢へ……、今、告白され、た……？｣
三嶋は思わず口を覆う。
いつぶりだろう、こんな急展開の恋は。
いや、恋と決まった訳では無い。
そもそも三嶋は福尾をどう思っているのか。
｢と、とりあえず、帰ろ……｣
三嶋は目黒に向かって歩き出す。
途中でタクシーを拾い、乗り込んだ。
車内で外の景色を眺めながら、先程の福尾の言葉を反芻する。
なにか他の意味と受け取り間違えていないか、何度も考えた。
しかし答えはいつもひとつだった。
福尾が三嶋に、せまっているのだ。
｢くぁぁあ！！！｣
｢っお客さん……！？｣
運転手がバックミラー越しに心配そうに三嶋を見る。
｢いや、すみません、なんでもないです。｣
｢あ、あぁ……。｣
運転手は気を取り直して前を向く。
三嶋は窓にもたれながらため息をついた。
本日何度目だろうか。
数分して目黒に到着した。
｢あ、おかえりなさい、Aさん！お疲れ様です。コーヒーいれましょうか？｣
須賀が扉近くで三嶋を、出迎えた。
三嶋は頷く。
｢はーい。｣
須賀が返事をして給湯室に向かった。
小柳津はというと、デスクの上で足を組みながら昼寝をしている。
｢…小柳津。｣
｢っ！うわ、もう帰ってきちゃったの？｣
｢今度からは小柳津も参加ね。｣
｢えぇ、なんで。｣
｢福尾課長と金澤サイバー長が会いたがってる。｣
｢あー、そういえばあの二人も公安本部会議メンバーだったね。｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 81人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ｭｩﾅ(プロフ) - てつやの漢字って徹也←こっちじゃないですか？ (2021年1月7日 9時) (
レス) id: 27390dba10 (このIDを非表示/違反報告)
かお(プロフ) - とっても面白いです！！ワクワクしてこれから楽しみです〜！！ (2020年8月9日 20時) (レス) id: ad4aaf0953 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：たたしぃ | 作成日時：2020年8月2日 17時
