#１４３ ページ13
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朝日がこの町を照らす少し前に、店の近くにある高台から眼下に広がる町を見下ろす。
「ここが、Aを連れてきたかった場所なんだってさ」
左手の薬指にはめた指輪をそっと撫でる。
夜中の出来事を思い出して、鼻で笑う。
「ホントは不器用な人なんだよな、あの人」
手先は確かに器用、けど人との関わりに関してはすごく不器用。
俺たち以外にあの人の友達と呼べる人を俺は今でも知らない。
それは恋愛でも同じだったみたいで。
──────────ジャリッ
後ろから砂利を踏みしめる音が聞こえた。
「おはよ、真美ちゃん」
何となく、そんな感じがした。
振り返って見ると俺の感は当たってて、真美ちゃんが上着に腕を通しながらこっちに向かってきた。
真美「よく分かりましたね、私だって」
「何となく、だよ」
俺の隣に立って、同じように彼女も町を見下ろす。
すると彼女が申し訳なさそうに口を開いた。
真美「昨日の2人の話 … 聞いてました … 」
どうやらお風呂に呼びに来た時に彼女の話をしていて出るに出れなくなって盗み聞きしてしまったらしい。
「 … 大丈夫？」
真美「何が、ですか？」
「あの人、真美ちゃんにAのことを重ねてる、それが嫌じゃないかって」
俺は彼女のただ垂らしてた手がぎゅっと強く拳を握ったのを見逃さなかった。
真美「平気、ではないです … 」
「だよね … だったら」
真美「それでも好きです」
朝日が山の間から差してきて、真美ちゃんの強い眼光に光が反射してキラキラさせた。
真美「最初から私のことを見てないって分かってました。分かってて好きになって、付き合ったんです」
「そっか」
真美「智が … いつかちゃんと私を見てくれるように、私を好きになってくれるように頑張りたい」
あぁ、智くん。
あなたが思ってるよりこの子は全然強いよ。
あとは智くん、あなた次第ってところかな。
「真美ちゃん」
真美「は、はいっ」
「俺たちの兄貴を、よろしくお願いします」
真美「あ、え！？嫌 … そんな … っ」
「真美ちゃんに頼るしかもうないみたいだからさ」
寒くてなのか、照れてなのか、恥ずかしいからなのか、彼女は頬を赤くして力強く頷いた。
「絶対に幸せになって … 絶対だからね」
真美「 … はい」
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夜天(プロフ) - 玲さん» コメントありがとうございます！こちらこそ、虹きみを読んで頂きありがとうございました！ (2020年1月6日 19時) (
レス) id: e2489fa5d7 (このIDを非表示/違反報告)
夜天(プロフ) - meiさん» コメントありがとうございます！顔面をそんなにして頂いたなんて…ありがとうございます！ (2020年1月6日 19時) (レス) id: e2489fa5d7 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - 久しぶりに沢山泣きました。こんな感動する小説を書いてくださりありがとうございました (2019年12月14日 4時) (レス) id: cd190f001a (このIDを非表示/違反報告)
mei(プロフ) - 泣きすぎて顔面とんでもないことになってしまいましたw感動しました！ありがとうございました！ (2019年11月25日 15時) (レス) id: fd406e97dc (このIDを非表示/違反報告)
夜天(プロフ) - PEANUTSさん» コメントありがとうございます！その言葉が何よりの励みです！ありがとうございます (2019年5月29日 18時) (レス) id: 11791f34cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜天 | 作成日時：2019年5月19日 22時
