ハグルマ 〜 山茶花を君に 〜

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『何かあるなら言わなわからんやろ』




家に帰ってソファに二人で腰をかけるも
一向に口を開こうとしない。

きっと遥輝には話してるだろうし、
なら尚更俺にも話してほしい。


昨日のこととやっぱり関係してるのか。


『A、ちゃんと言って。』

「………私、」

『うん、』




ゆっくりと話し始めたA。
言葉を出すたびに声が震えて行くのがわかる。



静かに頬を伝う涙を優しく拭う。


思っていたよりも残酷な内容なだけに
正直前の男が腹立たしい。



もっと早く出会ってれば。
そんな無意味な事ばかりが頭に浮かぶ。

こんな時になんて声をかけてやればいいのか。





『A、』

「……ん」

『Aとの子供は欲しいけど、』

「、うん」

『焦る必要はないと思う』




ゆっくりでいいじゃないか。

できなかったら、
この先もずっと二人の時間が続くだけ。

それもそれで幸せだと思う。






「…ありがと、卓ちゃん」

『あと、…あんま遥輝、』

「ん？？」





遥輝にばっかり頼るな。

そう言いかけて飲み込んだ。
そろそろ大人にならんとな。






『何もない、』

ちゅ、とリップ音を立て優しくキスを落とした。









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