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*
＿＿＿＿＿＿長かった夏休みが、終わった
「はい、じゃあ今日はここまで」
教授の声にザワザワと騒がしさを取り戻す講義室
隣にはもう、誰もいない
この夏休み、誰とも会うことはなかった
一人でいるとどうしても思い出してしまうあの日のこと、かき消すようにひたすらバイトに打ち込んだ
だけど休み明け初日、湧は私の家の前で待っていた
"おはよ"
そういつもの様に笑った
"おはよう、"
久しぶりに、口角を上げた
＿＿＿
「あ、Aちゃん！」
『あじくん、お疲れさま』
「お疲れ！」
講義終わり、中庭を通って帰ろうとしていれば、後ろから声をかけてくれるあじくん
いつも、見かける度にAちゃん！って、変わらない笑顔を向けてくれるのが、少し苦しかった
「元気？」
『...うん、元気だよ、』
いつも聞いてくれるそれに、いつもそう答えれば
あじくんはいつも、困ったように眉を下げて笑った
「にしても今日暑いね〜夏戻ってきたみたい」
あじくんも今から帰るのだろう
私の隣を歩きながら、ぐっと伸びをして空を見上げた
「あ、」
『ん？』
「見て、めっちゃデカい入道雲」
『...ホントだ、』
あじくんが指した指の先を追えば、空に浮かぶ真っ白なそれが私たちを覆っていた
それはまるで、
「...なんか、似てるね」
『え、？』
「...んーん、何でもない！」
...似ていた、すごく
大きくて真っ白な入道雲
可愛らしくて、甘いわたあめみたいで
何だか心が癒される
だけど、入道雲ってさ、夕方になると黒くなって雨を降らせるの
子どもの頃はそんなこと、知らないから
ただ、キレイ、可愛い、って
＿＿まるで彼みたいだった
気付いたらそんな雲に飲み込まれていた私は、雨が降ると知っていたのに、そこから戻ることができなかったんだ
「あじ！A！」
「おっ、わくおつかれ！」
『お疲れ様』
「おう！」
久しぶりに、3人で歩いた
いつ降り出すかわからないその雲の下
楽しげな笑い声に挟まれながら歩く私の心は
あまりにも空虚だった
『空虚な入道雲』 end
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ucst0307(プロフ) - きいさん» 完結おめでとうございます！めちゃくちゃ面白かったです😭何度も読み返します！！ (2021年12月22日 0時) (
レス) id: f62ccc5a63 (このIDを非表示/違反報告)
きい(プロフ) - ucst0307さん» お返事大変遅くなってしまいすいません🙇♂️とても嬉しいお言葉ありがとうございます！最後まで楽しんでいただけていたら嬉しいです(^ ^) (2021年12月19日 16時) (レス) id: 5fec2377c4 (このIDを非表示/違反報告)
ucst0307(プロフ) - コメント失礼します。今一番楽しみにしている作品です！^ ^これからも楽しみに更新待っております♪ (2021年11月15日 0時) (レス) @page39 id: f62ccc5a63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きい
| 作成日時：2021年9月25日 0時
