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24. ページ24

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今日は、湧が部活の日



私があの視線を感じなくても済む日




ちょっとだけ心が軽かった





一人で帰る準備をして、玄関を出た時
クラスの女の子数人が私の前に立ちはだかった





「ねぇ、ちょっといい?」

『っ、私、今日早く帰らないと、』

「ちょっとだけだから、いいよね?」





逃げなきゃ、って咄嗟に思ったけど
威圧的なその態度に私は何も言い返せなくて

黙って彼女たちの後を追った





体育や部活で使う備品が入っている倉庫の前

校舎裏のいかにもなそこで、立ち止まった彼女たちの真ん中に立つその子が私を睨みつけた




「ねぇ、あんた湧くんと付き合ってないんだよね?」

『そう、だけど...』

「だったらさ、毎週毎週あんな見せつけやめてくんない?」

『見せつけ、...』

「だってそうでしょ?湧くんにA〜!なんて呼ばれちゃって、ニコニコして、ほんと気持ち悪いんだけど」





面と向かって、そんなことを言われるのは初めてで、怖くて声が震えていた





「もうやめてくんない?ああいうの。」

『そんなこと、言われても、』





あれは私が頼んでることじゃなくて、私たちにとってはただの日常で

湧だって私のことはただの幼馴染みとしか思ってないはずで





それでもやめた方がいいんだろうな、って思うけど
湧になんて言えばいいかも分からない





「っ、あんた見てるとほんとムカつくんだよね、
私は悪くありません、みたいな、いい子ちゃんぶって」

『そんなつもりは、!』

「うるさい!!」







甲高いその声と共に、身体に衝撃が走った







部活で使われていたのか、開けっ放しにされていた倉庫の中に突き飛ばされた私は

薄暗いそこに倒れ込んだ





『っ、!!』





でも、床に体を打ちつけた痛みじゃなかった



何か、鋭い痛み




右の太もも辺りに感じる圧倒的な違和感と、今まで感じたことのない強い痛みに物理的に涙が零れる





「え、やばくない、?」

「に、にげよ、!」




ドタドタと、走り去る足音もどこか遠くに聞こえる





反射的に足を押さえていた両手に生暖かい何かを感じて
痛みに閉じていた瞼を開いた先に見えたそこに

頭が真っ白になった







「Aさん?!」

『......あ、じまくん、っ』







冷たくて、生温くて、気持ち悪くて、怖い___






そこから私を見つけてくれたのは、当時クラスメイトで全然話したことがなかったあじくんだった

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ucst0307(プロフ) - きいさん» 完結おめでとうございます!めちゃくちゃ面白かったです😭何度も読み返します!! (2021年12月22日 0時) (レス) id: f62ccc5a63 (このIDを非表示/違反報告)
きい(プロフ) - ucst0307さん» お返事大変遅くなってしまいすいません🙇‍♂️とても嬉しいお言葉ありがとうございます!最後まで楽しんでいただけていたら嬉しいです(^ ^) (2021年12月19日 16時) (レス) id: 5fec2377c4 (このIDを非表示/違反報告)
ucst0307(プロフ) - コメント失礼します。今一番楽しみにしている作品です!^ ^これからも楽しみに更新待っております♪ (2021年11月15日 0時) (レス) @page39 id: f62ccc5a63 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きい | 作成日時:2021年9月25日 0時

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