101 wRitten by ページ6
6月19日
ぼんやりと見上げる空の月
闇夜を照らす丸いその月に彼女は懸命に手を伸ばす。
＿＿＿『ねぇ、私のタイムカプセル代わりに拾ってきてよ。私、ここから出して貰えないから』
「……いいのか？」
『それで、一緒に手紙読んで？』
本当は怖かった。
だってきっとその手紙には希望に満ちた未来を描いていて、
死にたくなるほどに今のコレとは程遠い。
それでも見たいのは、たとえそれがどんな幻だったとしても、マイキーとの時間に浸っていたいから。
『……マイキーも、この月見てるのかなぁ』
遠いどこかの空の下。
確かにそこにいるマイキーに想いを馳せて
「……いいのか？今日は6月19日だぞ」
「あぁ、いいんだ」
いつもマイキーは隣に1つ分の空白を置く。
まるでそこにAが存在しているかのように。
マイキーの心をかき乱すAを
三途はいっそのこと殺してしまおうと思った。
けれどマイキーはそれを望まない。
「……マイキーの女、か。随分と大切にされてんだな」
そう言われたこともあったが、
マイキーのそれは遥かに黒い感情だった。
＿＿＿「Aは、俺なしじゃ生きられないんだ。だからせめて、結ばれないなら一生オレのことを思って苦しめばいい」
己の中に渦巻く黒いモノ。身を委ねる方が楽だった。
＿『……マイキーになら、殺されてもいいよ』
かつて愛を囁いてベッドに投じたその身
愛おしい彼女の名を呼んで、自分のモノだと証を刻む。そのうちにふつりと沸き立っていく歪んだ感情。
どろりどろりと溢れていくそれに身を委ね
ふと我に返った頃には彼女の首を絞めていた。
薄らとした酸素の中、苦しくても彼女は笑う。
己の歪んだ愛を懸命に受け入れるようにして
「……ごめん……ごめんなA」
それは何度も何度も繰り返された。
「………守ってやれなくて、ごめんな」
自分無しじゃ彼女は生きられないと分かっていて、それでも彼女を手放した。せめて己の愛が彼女に刻まれ続けていることを祈りながら
＿＿＿【12年後の私へ】
マイキーの隣で元気してるかな？
真一郎くんも東卍ももうないんだ。
大切な場所はいつも無くなっていく。
だけどもし、今の貴方も何かを失ったとしたら思い出してね。あなたにはマイキーがいてマイキーにはあなたが居る。過去は取り戻せないけど、未来は変えられる。どんな未来でも2人でいればきっと幸せだから。
【過去の私より】
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SEI(プロフ) - メイデーアさん» こちらこそありがとうございます!!半間自身、興味なのか愛ゆえなのか曖昧で気づいていない(気づかないようにしてる)部分はあるのかなと思いつつ。一応書きながら何個か分岐点があったのですが、そのうちのどこかでは夢主が半間を選ぶ未来もありました！ (7月18日 15時) (
レス) id: aa2a9e2f26 (このIDを非表示/違反報告)
メイデーア - 素敵な作品をありがとうございます。半間の心の中に夢主ちゃんに対する愛情があったのかどうかはわからないけれど、でも、あったなら、報われてほしい。 (7月17日 15時) (レス) @page28 id: 8fc649d94d (このIDを非表示/違反報告)
SEI(プロフ) - 茉莉さん» こちらこそ！この作品とであってくれてありがとうございます。 (6月26日 3時) (レス) id: aa2a9e2f26 (このIDを非表示/違反報告)
茉莉(プロフ) - めっちゃ泣きました。素敵な作品ありがとうございました！！ (6月24日 23時) (レス) id: 8d9e72013a (このIDを非表示/違反報告)
SEI(プロフ) - sunnaさん» 私もsunnaさんに読んで貰えて嬉しいです！原作のような笑いと涙の丁度いい塩梅でかいてたので、そう感じてもらえたなら何よりです！ (2024年6月7日 3時) (レス) id: aa2a9e2f26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SEI | 作成日時：2024年5月13日 23時
