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Tside
「ごめん…」
俺の腕をギュッと握るミツが、小さくそう呟いた。
支えていた体をそのままソファへ戻す。
まだ眩むのか、ミツは腕を目元へと乗せた。
なんだかまるで目眩に慣れているような雰囲気だった。
「いつから体調悪かったの?ごめんね、気付けなくて…迎えにも来てもらっちゃったし、ほんとごめん」
「いや、それは俺が行くって…」
「熱は?気分悪いとか、どっか痛いとかある?」
真っ青なミツを見てとても怖くなった。
焦る俺に、ミツは大丈夫だよと笑う。
「ただの立ちくらみ。ちょっと疲れてたのかな。体調悪いとかじゃないし、そう思ってなかったから迎えに行ったし。たま何も悪くないよ」
「でも…」
「もーびびりすぎ。ほんと子どもかよ」
「だって」
ミツは座ってほら大丈夫だからと、本当に子どもみたいな反応しかできない俺の、頭を抱えるように撫でた。
「俺もごめんね、怖い思いさせた」
「ほんと怖かった。だからちゃんと休んで…」
「分かりました(笑)」
一緒に入ることは諦め、ミツに先お風呂へ入るよう促した。
心配をかけたと自負してるのか、素直にさっさと先に入ってくれた。
交代でお風呂に入って上がってくると、ミツがベッドでもう眠りについていた。
俺のことを待っているつもりだったのか片手にはスマホが握られていて、そのスマホを充電に繋いで電気を消した。
ゆっくり寝かせてあげようとベッドから離れ、ブランケットを持ちソファへ行った。
ソファに置かれていたミツのカバンを下に置くとコテンと倒れた。チャックが開いていたため中身が少し出てしまう。
「あらあら」
中途半端に出てしまった物をちゃんと入れ直そうと一旦出した。中身の減ったカバンの中が見える。
多分見ちゃダメだった。
「処方箋…」
病院に通ってるなんて話は聞いたことがない。
気になってしまって手を突っ込んでしまった。
「たま、寝ないの?」
そのタイミングで、突然声がした。
「へっ?いや、こっちで寝ようかと」
起きてきたミツが荷物を手にしてる俺を不思議そうに見る。
ごめん倒しちゃってと咄嗟に言ったら、適当でいいよと言われた。
「風邪引くから。ベッド入ろうよ」
「…うん」
例え今は彼氏でも、こんなに年下で、しかも元生徒じゃ頼りにくいだろうか。
横向きに眠る君の肩を撫でる。一体何を背負ってるのだろう。
携わったことがなくたって、俺がバカだって、
抗不安剤がどういう薬かくらいは考えられた。
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ちび(プロフ) - めっちゃ良いですね、藤北、から検索で来ました、ツイッターもリクエストさせてもらいました⚪︎何気ない藤北、めっちゃ好きなんです、ドラマのは私も妄想してたんでめっちゃ読んでてニヤニヤしちゃいましたわ🤭素晴らしいですね (2023年3月16日 13時) (レス) @page33 id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻弓 想 | 作成日時:2023年1月15日 21時