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Tside
「あら。みつ、風邪引くよ」
「ん…ぅう」
先にお風呂をもらって上がってくると、ミツが机で寝てしまっていた。
先程まで食べていた机は綺麗に片付けられており、台所を見ると洗い物も済まされている。
「みつ、片付けありがとう」
「んーいいよー」
ミツが眠そうに目を擦りながらお風呂へ向かう。
今日はたまたま俺が遅かっただけで、ミツはバリバリ教師。いつも忙しい。
「みつ」
「え、なにっ」
服を脱いでる途中に脱衣所へ入ると、袖を抜きながらそう驚かれた。
「みつ忙しいのにごめんね」
「んだよ…そんなことかよ。驚かすなって」
「無理しなくていいから。俺できること、全然なんでもやるから」
「わ、わかった!わかったからもう閉めろ!」
押されるように無理やり閉められたドア越しにまだ声をかける。
「…みつ、食欲なかった?」
ガタガタと動いていた音が止まる。
ミツが晩御飯をあまり食べてなかったのだ。
その場では何も言わなかったが、気になっていた。
「いや?…あー待ってたとか言いながら、実はちょこちょこ先つまんじゃってたからさぁ」
「…ならいいけど」
・
ベッドでゲームをいじってると、ミツが寝る用意を済ませて寝室へとやってきた。
ゲームを置いて、腕を広げ待ち構える。
「な、なに」
「おいで」
どうしたらいいかわからないような顔で、おずおずと布団に身を入れたミツを、ギュッと後ろから包み込んだ。
ミツは抱きしめられたまま黙ってる。
「…俺さ、今でも不思議なの。いつもいつもミツがこんなに近くにいること」
「なんだよ急に」
「だから、そんな良くしてくれなくても、居てくれるだけでいいよって話」
「…そんなん言って。数年経ったら、動けよおっさんってなるぜ」
「んはは。ならないよぉ」
頭を撫でながら、首筋に顔を埋めてスゥっと息を吸う。
ミツの香りがする。
そのまま何度か唇を落としていると、やめろよとこちらを向いたから、唇にもキスをした。
「かわいい」
「何がだよ」
「全部」
「37だぞ俺」
「知ってますけど」
「揶揄うな」
顔を背けたミツの耳が真っ赤だった。
頭をポンポンとして、その手をリモコンへと伸ばし電気を消す。
「揶揄ってないよ。おやすみ」
「…おやすみ」
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ちび(プロフ) - めっちゃ良いですね、藤北、から検索で来ました、ツイッターもリクエストさせてもらいました⚪︎何気ない藤北、めっちゃ好きなんです、ドラマのは私も妄想してたんでめっちゃ読んでてニヤニヤしちゃいましたわ🤭素晴らしいですね (2023年3月16日 13時) (レス) @page33 id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:櫻弓 想 | 作成日時:2023年1月15日 21時