飛蝶 - 最愛の人 - (ページ44)

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Nozomu side.

Aちゃんがいなくなってからの組内は忙しく動き回っていた。

小『これ、サインもらってきたで』

『そこ置いといて』

小『手伝おうか？』

『いや、望は下のやつら見たって』

小『わかった。あと、』

濵ちゃんの机に置いた、Aちゃんが残していった物。

『…要らんから捨て、』

ｺﾝｺﾝｯ､

濵ちゃんが言い終わる前に誰かがタイミング悪くノックをした。

結『あら？お取り込み中だった？』

返事をする前に勝手に開いた扉から、顔を覗かせる結愛ちゃん。

小『まさか。ほな、濵ちゃんまた後で』

俺はそれだけ伝えて部屋を出た。

廊下にも広がる甘い香りに思わず息を止める。

小『必死やなぁ、』

　

扉に向かってかけた言葉が届いてないことを信じて。

俺は仕事に戻った。