一枚上手のたぬきさん ページ8
「え、あ、あの…⁉」
「顔真っ赤。かわいいね」
「……かわっ…⁉」
「なーんて、冗談だよ」
「は……?」
先ほどのギラついた表情とは打って変わって、パッと笑顔を浮かべ私から距離を取ってた。
「まぁ、話し合いたいと思ったのは本当だけど」と付け加えたが、私はさっきのに驚き過ぎで腰が抜けてしまった。
「えっ、ちょ…大丈夫⁉」
「び、ビックリしました……」
「……ごめん」
とても申し訳なさそうにする彼に反省してるんだなと感じたと同時にほんの少しの怒りが湧いてくる。
私は今日だけでどれほど彼等に振り回されるのかと……
リスナーやファンからしたらこんな事、妬まれるし下手したら殺されるかもしれないけど、いや、そんなこと言ってられない。
まともに恋愛してないこちらからしたら耐性なんてついてないし、心臓がいくつあっても足りないのだ。
けどまぁ……冗談で良かったけど。
「もう二度としないでください。私リスナーさんに殺されるのとか絶対嫌ですから」
「お、おう……」
私の目があまりにもすわってたのだろう、うらたさんは冷や汗を流しながら声を詰まらせ返事をする。
彼に手を借りてなんとか立ち上がると「じゃあ、行きましょうか」と私から話を振り、話ができそうな近くの喫茶店へと足を向けた。
しばらく歩き、もう少しで喫茶店という時だ、うらたさんが何か思い出したように「あっ」と呟いた。
「どうしました?」
「あれは確かにからかっただけだけど、かわいいと思ったのは嘘じゃないから」
「なっ……⁉」
こちらの顔を見て結構真顔でおっしゃる彼にまた頬を熱くしてしまう。
その反応に彼は「そういうとこ、スッゲェかわいい」と笑みをこぼした。
天然なのか、素なのか、ツンデレのデレが強いのか……
とにかく、それを気にしないように話し合いは死ぬほど集中したのは彼のそのニヤリと弧を描いた口元が語っていた。
「(アイツ等が虐めたくなる理由もわかる気がするなぁ………)」
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久住花子 - まっww塾一緒なんですけど← (2020年1月10日 23時) (レス) id: a45da1f95d (このIDを非表示/違反報告)
定春(プロフ) - over the rainさん» いえいえ、こちらこそいつもありがとうございます…! (2019年12月25日 20時) (レス) id: 275c998899 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 了解しました!ありがとうございます! (2019年12月25日 17時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
定春(プロフ) - かんな鬼灯さん» ただいまです、ありがとうございます!頑張ります (2019年10月12日 21時) (レス) id: 275c998899 (このIDを非表示/違反報告)
定春(プロフ) - 明日香さん» ありがとうございます!その言葉を胸に止めて頑張らせていただきます (2019年10月12日 21時) (レス) id: 275c998899 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:定春 | 作成日時:2019年8月28日 1時