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坂田さん ページ4

「あ、あれ〜先約がおったんや」


き、気まずい…!
私から顔を反らせながらポリポリと自分の頬を掻く男性。
そりゃそうだ、考えてみれば私は顔出しをしていない。指定された場所へ行ったら見知らぬ女性がいました……って、下手をすれば犯罪だ。
と、とにかく何か話さなくては…!「失礼します‼」は何か違う、いや絶対違う。次にまた会った時にお互いの空気感が耐えられない。
グルグルと頭を回していると、先に話を切り出してきたのは彼の方だった。


「あ、あのー……もしかして柿Pさん…?」
「は、はい」
「ホンマに⁉」


いきなりの大声にビクリと肩を震わせてしまった私に対して彼は「ご、ごめんなさい!」と謝ってきた後「俺、ずっと前からファンなんです」と微笑んだ。
はにかむように笑う彼に思わずキュンとしてしまう。これがワンコ系男子というやつか……と内心納得してしまった。


「柿Pさんの曲ホンマ好きで、いつも歌わせてもらってます…!」
「こ、こちらこそいつもありがとうございます…!
流石だなぁって思いながらいつも聞かせていただいてます」
「え⁉聞いてくれてるんですか‼?」
「わ、私の曲を歌ってくれてる方一通りは……」


パッと顔を上げ、瞳をキラキラと輝かせる彼。
自分の曲を聴くのは少し照れくさいが、一人一人表現していることや歌い方が違うから聴くのは面白くて好きだった。
だから彼に対しても、いつも私の曲を多く歌ってくれていたのでなんとなくは知っていたのだ。


「それにしても、柿Pさんがこんな可愛らしい女の子なんてビックリやなぁ」
「え、か、かわいい…⁉」
「俺、ずっと男の人やと思ってたから……
あ⁉そういえば俺自己紹介してなかったですよね⁉」
「え、あ」
「俺、浦島坂田船のとなりの坂田。言います
よろしく」
「あ、はい……お願いします」


笑った顔がとてもかわいくて、私を気遣ってなのかずっと話しかけてくれる彼のおかげで最初の緊張なんて忘れてしまうくらい私の心はほぐれていった。


「!」
「? 坂田さん…?」
「え、いや、なにも…!」
「?」
「(アカン、笑った顔めっちゃかわいい……)」

わちゃわちゃ→←月は落ち、日は昇る



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久住花子 - まっww塾一緒なんですけど← (2020年1月10日 23時) (レス) id: a45da1f95d (このIDを非表示/違反報告)
定春(プロフ) - over the rainさん» いえいえ、こちらこそいつもありがとうございます…! (2019年12月25日 20時) (レス) id: 275c998899 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 了解しました!ありがとうございます! (2019年12月25日 17時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
定春(プロフ) - かんな鬼灯さん» ただいまです、ありがとうございます!頑張ります (2019年10月12日 21時) (レス) id: 275c998899 (このIDを非表示/違反報告)
定春(プロフ) - 明日香さん» ありがとうございます!その言葉を胸に止めて頑張らせていただきます (2019年10月12日 21時) (レス) id: 275c998899 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:定春 | 作成日時:2019年8月28日 1時

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