教え子の隠し事 ページ15
「せんせー、さよーならー」
「はい、さようなら」
あのままセンラさんとは特に何もなく、近辺を少し歩き別れた。
なるちゃんの事も気になって、別れた後またお店に戻ってみたりもしたがいるわけもなく。私は胸にわだかまりを抱えながら職場へと出勤した。
今日は一番遅いコマまでだったので窓の外を見ると空はもう真っ暗だ。こんな時間まで生徒達も勉強なのだからさぞ大変だろう……なんて事を思いながら、私は教室内電気を消そうと戻った……のだが、
「あれ?朔君?」
教室内にはまだ人影があった。
朔君。彼は私が中学の時に彼のお姉さん共々よく面倒を見てもらっていた仲だ。
私が講師をする前も彼にちょこちょこ勉強を教えていた。ちなみに、大学受験を控えている。それもいいところの。
「どうしたの、こんな時間まで……
親御さん心配するよ〜?」
「………これ、中間考査終わったから」
そう言って渡されたのは中間考査の結果が記された紙だった。
中々素晴らしいもので、全ての科目90点は超えており順位も1桁だ。これなら志望大学も夢ではないという結果だった。
しかし、私がすごいねと褒めると彼はうんと特に反応を示さない。
「え、どうしたの?嬉しくない?」
彼は完璧主義だっただろうか…?
なんて頭に疑問を残しつつ、ゆっくりと返答を待つ。
すると彼は、両手をギュッと握りしめながら、私へと視線を合わせた。
「もちろん、嬉しいよ……ねぇ、A姉…俺、A姉のおかげでもあるけどここまで解けるようになったんだよ」
「うん」
「だから……」
意思のこもった表情で私を見つめるが、すぐにハッと我に返り視線をそらし「なんでもない」と彼は言葉を濁した。
「え、でも…?」
「な、なんでもない…!なんでもないから…‼
それじゃあ先生、さようなら!」
「あ、ちょっと…!」
そう、言い切ると彼は走り去ってしまった。
どうしてしまったのだろう、今日は疑問を抱えてばかりだ……なんて思いつつ、去り際、彼の辛く苦しそうな表情が妙に印象に残った。
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久住花子 - まっww塾一緒なんですけど← (2020年1月10日 23時) (
レス) id: a45da1f95d (このIDを非表示/違反報告)
定春(プロフ) - over the rainさん» いえいえ、こちらこそいつもありがとうございます…! (2019年12月25日 20時) (レス) id: 275c998899 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 了解しました！ありがとうございます！ (2019年12月25日 17時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
定春(プロフ) - かんな鬼灯さん» ただいまです、ありがとうございます！頑張ります (2019年10月12日 21時) (レス) id: 275c998899 (このIDを非表示/違反報告)
定春(プロフ) - 明日香さん» ありがとうございます！その言葉を胸に止めて頑張らせていただきます (2019年10月12日 21時) (レス) id: 275c998899 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：定春 | 作成日時：2019年8月28日 1時
