19. 恋人になれたらとか ページ19
yt side
雄也「 …振った直後に失踪って…逆ならまだしも 」
「 あー、うん。そこが謎。」
それこそ、猫の手ではなくメガネの少年探偵くんを借りたいくらいだ。
まあ実を言うとその連絡が途切れた1ヶ月前のさらに1週間前、俺は慧さんに振られていた。
「 あの日は雨だったんだよね…」
雄也「 おい、誰も回想しろなんて……」
_________38日前
喫茶店に入りキョロキョロとお目当の彼を探す。
つい先程送られてきたメッセージが嘘でなければ、慧さんはここにいるはずだ。
『 裕翔くん、こっちこっち!』
…あぁ、いた。
『 急に呼び出しちゃって、ごめんね、慧さん 』
慧『 ううん。今日休みで何しようかなーって思ってたところ。ナイスタイミング!』
『 はは。そっか。よかったです 』
仕事着じゃないからか普段よりは幾分か柔らかな雰囲気を纏った彼はどう見たって魅力的で。
チラリ、チラリと視線が集まる。
それは俺に向けてもあるだろうけど。
『 あのね、慧さん 』
窓の外降り出した雨のよう。
あなたが少し、息を吐いて、真っ直ぐに俺を見つめた。それが儚かった。
溶けて行く。
滲んで行く。
あなたへの想いが、溢れて行く。
『 好きです。俺と、付き合ってください 』
本降りになった雨。静寂を搔き切るように音を立てる。
慧さんの瞳が大きく揺れた。
突然、恋に落ちたあの日。
笑顔も心も綺麗すぎるあなたに為すすべもなかった。
恋は落ちるものなのに、心はどんどん昇ってくから。
ゆうとくん、って呼んでくれるたびに期待して
俺の知らない顔を見せるたびに胸が痛くて。
無謀なんて分かってる。
近くにいるはずなのに、何故かあなたを遠く感じる。
慧『 ……ごめん、裕翔くん 』
酷く傷ついた顔をする慧さん。
こんな時でもあなたは、綺麗で、そして残酷だ。
『 ごめん…こめんなさい、慧さん…あの俺…そんな顔させたかったわけじゃないんです。』
慧『 ごめっ……ごめん、ね…っ…おれ、弱い…からっ』
『 ……泣かないでください 』
自分を弱いと言った彼が、涙を乱雑に袖で拭ってピン札を置き外へ駆け出した。
その後をすぐ追うわけにも行かず、会計を済ませてからさっきの言葉を考えながら走る。
あなたを、弱くしてるのは何ですか。
『 …教えてよ、俺に 』
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伊野尾様love.@七星 - こんなに素敵なBLがあっていいものでしょうか…泣。なんなら私、見出し?というか目次で泣いてましたから←。神楽様の語彙力が凄まじいからです…!私もこんな小説がかけるようになりたいな…とつくづく思いました。ありがとうございました!! (2019年12月26日 3時) (レス) id: e41447f8a9 (このIDを非表示/違反報告)
りぃ(プロフ) - 神楽さん» これからも楽しみにしています。更新頑張ってください! (2018年5月1日 0時) (レス) id: 8fb5d7b3b8 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - りぃさん» ご指摘有難うございます。先程の更新で変更させていただきました。これからも神楽共々「雨宿り〜」を宜しくお願い致します。 (2018年5月1日 0時) (レス) id: 5c1877f0f8 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - ここみさん» ゆといのはほんとに素晴らしくて神楽も大好きなカップリングの1つなので是非楽しんでくださいね。そしてゆといのを書かれてる素敵作者様たっくさんおられるのでそちらにも是非! (2018年5月1日 0時) (レス) id: 5c1877f0f8 (このIDを非表示/違反報告)
りぃ(プロフ) - 神楽さん、初めまして。神楽さんの色々な作品をいつも楽しませて頂いております。17ページで気になるところがあるのですが、「喫煙」ではなく、「禁煙」ではないでしょうか…?喫煙でしたら煙草を吸うという意味になってしまいます…!私の勘違いでしたらごめんなさい! (2018年4月30日 20時) (レス) id: 8fb5d7b3b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神楽 | 作成日時:2018年4月1日 15時