雨宿りするなら君の胸の中で。 ytin

18. お呼びじゃない人 ページ18

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涼介「 なあー、ゆうとおー 」


「 …んー？」







パタパタ、シャツを掴み仰ぐ。
青い空に金色の髪がよく映えて、彼の現実味のない端正な容姿を際立たせた。









涼介「 今すぐあの太陽追っ払って来い………」



「 やま、頭悪くなってるよ 」



涼介「 …この暑さでまともな奴なんていねえだろ 」









スタッフさんが汗を垂らしながら忙しなく動いてるのを横目に、内輪で仰がれたり扇風機に吹かれたりしてる俺ら。

必死にメイクさんが崩れたとこを直してるけど、この天気だ。汗も皮脂油もすごい。








涼介「 っ……だあーっ！今すぐ南極に行きてえっ！」



「 現実的に考えて無理だね。やまは今年もサマコレ引っ張りだこじゃん 」



涼介「 …誰だよ仕事入れた奴 」



雄也「 おにーさんだけど、なんか文句でも？」



涼介「 ………おい裕翔、今ならお前のへっぽこマネージャー貰ってやるぞ 」



「 ちょ、勝手にうちのマネをへっぽこにしないでくれる？！」









終いにはアイスを食べだしたやまは、一年で一番機嫌の悪い夏を恨めがましそうに項垂れる。

俺もスタッフさんからアイスを受け取り冷たさに酔いしれた。









梅雨が明けて、すっかり気温が上がり季節は夏に突入。
日本の四季は春や秋のように穏やかな季節だけでなく、夏と冬みたいな極端な季節もある。
平仮名とカタカナが一緒だけど違うように、これも必ず知っておかないといけないことの１つだと思う。









涼介「 ………そーいや…返信きたのかよ、あれからまた1週間経ったけど 」


「 …届いてない。スマホのあらゆるメールボックスやメッセージボックス、アプリも全部調べたけど…1ヶ月前で連絡が途絶えてるままだよ。」









分かりやすい溜息で肩を下ろし、机に顎をつけた。
目を閉じると浮かぶのはあの柔らかな笑顔だ。
1日だって1時間だって忘れたことない。


一分一秒、携帯を気にしてこの1ヶ月過ごして来た。









「 諦めろ、ってことなのかなぁ……」









小さな呟きは、太陽の光に照らされ虹色に輝くシャボン玉みたいにして消えていった。

フワフワ、キラキラ。









最後に彼と会った日は、晴れのち曇りで、なぜか浮かない顔してたんだっけ。









『 雨嫌いなの？』



『 …嫌い、っていうか…』



『 っていうか？』








『 俺は雨に嫌われてるんだよ 』

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