02. スーパーマン ページ2
in side
「 …おはようございます 」
フロアに入って挨拶をすれば、沢山の人が返してくれる。
だけどその目を見るのがどうしても怖くていつも俯きがちになってしまうのは俺の悪い癖だ。
「 お、いのおーおはよ 」
「 …やぶぅ!」
いつもはすでに外回りでいない同期でもあり友人でもある薮宏太がいて駆け寄る。
犬みたいだと笑われたけど気にしない。
宏太「 お前今日遅かったけど電車大丈夫だったか?」
「 ん?………あぁ、う、うんっ」
なんたって今日は、彼が助けてくれたんだもん。
「 あのね、やぶ……今日ね助けてもらったよ 」
宏太「 おー!そりゃ珍しい……って、結局されてんのかよ 」
美人は大変だなーと笑われた。
自分のこと綺麗とか、思ったこと一度もないけど。
宏太「 もしかしてその助けてくれた人に一目惚れしたとか?」
( えっ、伊野尾さん!好きな人できたんすか?!)
( おいおいどこの誰だよ!)
( 俺たちの天使が…!)
「 えっ、えっと…」
宏太「 おめーらうるせえよ。」
ゆっくり話せるコーヒーメーカーの前まで来てから、俺は彼の名前を口にした。
「 ゆうとくん、って言うんだけどね?」
宏太「 ヒーローくんね 」
「 薮くらい背が高くってだけど威圧感とかなくて!むしろ爽やかからできてる感じ 」
宏太「 …んでまんまと落とされたってわけですか」
「 ばっ、もうっ!違うってば!」
宏太「じゃあもう二度と会わないのかよ 」
「 それは……その…」
宏太「 会う約束でも取り付けたのか?」
「 お礼したいから、って…図々しかったかなあ」
中島裕翔くん。俺よりも落ち着いてて大人っぽいのに二つも年下。
あの後、疲れちゃった俺に寄り添ってくれて。
『 ごめんね…気持ち、悪いよね……男なのにこんなこと…』
裕翔『 慧さんが謝ることじゃないですよ。悪いのは向こうのほうです。』
だから自分を責めるのはお門違いですからね、って笑いかけてくれた。
昔から人に一線を引かれて接されることが多くて素直に友達と呼べる人は薮含めても片手で数え切れる。
学生時代は、女子には男のくせに媚びってんじゃねえよって白い目で見られて、男子には必要以上に体を触られたり「慧ちゃん」ってからかわれたり。
だから余計に、裕翔くんの言葉と笑顔が嬉しかった。
甘えちゃいけないのに。涙がこぼれた。
655人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
伊野尾様love.@七星 - こんなに素敵なBLがあっていいものでしょうか…泣。なんなら私、見出し?というか目次で泣いてましたから←。神楽様の語彙力が凄まじいからです…!私もこんな小説がかけるようになりたいな…とつくづく思いました。ありがとうございました!! (2019年12月26日 3時) (レス) id: e41447f8a9 (このIDを非表示/違反報告)
りぃ(プロフ) - 神楽さん» これからも楽しみにしています。更新頑張ってください! (2018年5月1日 0時) (レス) id: 8fb5d7b3b8 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - りぃさん» ご指摘有難うございます。先程の更新で変更させていただきました。これからも神楽共々「雨宿り〜」を宜しくお願い致します。 (2018年5月1日 0時) (レス) id: 5c1877f0f8 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - ここみさん» ゆといのはほんとに素晴らしくて神楽も大好きなカップリングの1つなので是非楽しんでくださいね。そしてゆといのを書かれてる素敵作者様たっくさんおられるのでそちらにも是非! (2018年5月1日 0時) (レス) id: 5c1877f0f8 (このIDを非表示/違反報告)
りぃ(プロフ) - 神楽さん、初めまして。神楽さんの色々な作品をいつも楽しませて頂いております。17ページで気になるところがあるのですが、「喫煙」ではなく、「禁煙」ではないでしょうか…?喫煙でしたら煙草を吸うという意味になってしまいます…!私の勘違いでしたらごめんなさい! (2018年4月30日 20時) (レス) id: 8fb5d7b3b8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:神楽 | 作成日時:2018年4月1日 15時