彼らはいつもすれ違う。 (ページ2)

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そんなことを考えている内に控室の前に着いた俺は扉を開ける。鼻歌を歌いながら何かを探している風な北斗の背中に、取り敢えず声をかける。

「北斗、樹が呼んでた」

いきなり声をかけられたことに驚いたのか、北斗は持っていた自分のバッグを床に落とした。
小声で「びっくりした…」と呟く北斗に、申し訳ない気持ちになりつつ、中身のほとんどがぶちまけられたバッグを二人して眺めること約1分。

ようやく我に返った俺は小さく謝罪の言葉を述べる。こういうとき北斗は、他のメンバーだったら笑って終わるのに、俺だと萎縮させてしまう。

「…なんか、ごめん」

「いや、俺も驚いちゃって…」

北斗はいそいそとぶちまけられた中身を拾い始める。俺も慌てて駆け寄り、落ちたままのタオルを拾って北斗に渡そうとしたとき、気付いた。

「あ、勝手に物触られるの嫌いだったっけ…」

俺が苦い顔をしていることに気づいたのか、北斗は微かに笑いながら俺の手からタオルを奪う。

「ありがとね、拾ってくれて」

「えっと、どう、いたしまして？」

こうやってたまに北斗から心を近づけて来られると、俺はどうしたらいいかわからなくなる。

「なんで疑問形なの」

少しだけ笑う北斗も俺と同じことを考えていますように、と俺は願う。

俺と北斗は凸と凸だけど、

もう少しだけ、北斗に近づけるかもなんて。

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