煉獄杏寿郎の歪んだ愛 弐

愛56 ページ6

宇髄side





Aを助けると言ったが、ここ1週間全く手掛かりが掴めなかった。




不安と焦りからイライラしながら街を歩く。



その時、すれ違った女を見て目を見開いた。



思わず手を掴むとその女は怪訝そうな顔で振り返った。





宇「よぉ、久しぶりだな。”堕姫”。」


堕「はぁ？何よこの不細、く……。」






鬱陶しいとでも言いたげな顔が驚愕に染まる。


俺の手を振りほどこうとするが相手はもう鬼では無いのだろう。


振りほどけないのがよっぽど腹が立つのか、顔に青筋を立てている。



そのままずるずると引き摺って近くのファミレスに連れ込む。





堕「なんなのよ。私はアンタに用なんて無いんだけど。」





怒りを隠しもしないでこちらを睨み付けてくる。




前世と同じ見た目だが簪などは刺しておらず黒髪を高く結い上げているだけだ。


顔にもあの刺青のような柄はない。





宇「単刀直入に聞く。Aって言う奴、知っているか？」





ピクリと眉が動く。



知っているんだ。





宇「どこにいる？」


堕「…知らないわよ。」


宇「…煉獄もいるのか？」


堕「煉獄ぅ？知らないわよそんな奴。」





長い爪でテーブルをカツカツと鳴らしながらこちらを睨む。


その顔には焦りが浮かんでいる。



…短気なところは前世から変わんねぇのな。





宇「ていうかなんでお前黒髪なんだ？前世は違っただろ。」


堕「…染めてるのよ。目立つから仕事がしづらいの。」


宇「そうかぁ？俺この色だけど全然大丈夫だぜ？」


堕「うるさいわね。アンタと私は違うのよ。」


宇「だけど煉獄も派手な髪色をしてんだろ？」


堕「あの男と一緒に………っ！！！」




堕姫がハッとして口を押さえる。


にやりと、口が歪む。




宇「やーっぱり知ってんじゃねえか！」




もっと情報を聞き出そうとしたが一足先に堕姫が逃げ出す。





宇「あ、待て！！」





金をテーブルに置き慌てて追い掛ける。




思っていたよりも足が速くて焦る。



路地裏を走り回られる。


まずい。 このままだと見失う。




その時、誰かが堕姫に突っ込んで行き堕姫と共に倒れ込んだ。





炭「捕まえたぞ、堕姫！！」


堕「離せこの不細工！！！」


炭「嫌だ！！」




取っ組み合いの喧嘩を始めた2人を窘めつつ、堕姫を取り押さえた。




_______________


昨日更新出来なくてごめんなさい。寝てしまいました。

愛57→←愛55

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す