煉獄杏寿郎の歪んだ愛

愛45 ページ45

杏「何か家から持って来たい物はあるか？」




屋敷に戻り、台所で晩ご飯を作っていると杏寿郎が入って来た。




杏「！今日はさつまいもの味噌汁か！」


『うん。無惨さんがくれたんだ。』


杏「そうか！」






ぱあぁと顔を輝かせて喜んでいる顔はとても可愛らしいが、忘れてはいけない。


こいつは犯罪(※39話参照)に手を染めて、しかもヤクザになった。




あと杏寿郎はさらっと流しているが無惨さんがさつまいもをくれたんだ。



あの、無惨さんが。



皆さん想像して下さい。




初対面の人に本を投げつけ(※43話猗窩座の話参照)口が悪く常に上から目線のあの人が。





律儀に家のチャイムを鳴らして。



勝手にずかずかと入って来そうなのに。



出てみれば真顔でさつまいもを紙袋いっぱいに入れて立っているんですよ。



杏寿郎が好きだろう、やる。と言ってくれたんですよ。



本を投げつけるくせに覚えてらっしゃるんですね可愛いですねツンデレですか？



それを言いたいのをどれだけ必死に耐え、笑いを耐えたか。







味噌汁を少しお椀に装い、杏寿郎に味見をさせればわっしょい！！と言って喜んだ。



『ご飯出来たし食べよう。』




そう言って割烹着を脱いでおかずを盛った皿を持ち居間に向かった。






杏「あともう少しだな。」







だから杏寿郎がそう呟き、目を細めこちらを見て笑っているのに気付かなかった。





あの、黒い感情を孕んだ、どろどろの目に。

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