セクゾ兄弟はお医者さん２

喘息再発 ページ8

風磨side



「誰か！誰か来て！！！」


のんびりとした空気が流れるリビングに届いた切羽詰まった叫び声
声の主は先程兄貴の部屋に様子を見に行ったはずの聡のもので、一瞬にして嫌な予感が全身を駆け巡る

俺も、勝利も、マリウスも
気付くと一斉に兄貴の部屋に向かって駆け出していた





風「聡！どうした？！」

聡「どうしよう！健人兄ちゃんが…！！」

風「………っ」

部屋に入って先ず飛び込んできたのは、泣きじゃくる聡の腕の中でぐったりしている兄貴の姿
その呼吸音からは喘鳴が聞こえているが、その呼吸自体がかなり微弱なことに気付き、冷や汗が流れる



マ「吸入するから聡兄ちゃんはそのまま健人兄ちゃんの身体支えてて！！」

聡「…っ、わかった！！」

マリウスが不自然に床に転がった吸入器を掴み、聡に全体重を預けてなんとか座っている状態の兄貴の口元へ吸入器をあてがう

マ「健人兄ちゃんわかる？大丈夫だからね、一回ゆっくりお薬吸ってみよ？」

しかし、既に意識が消失してしまっている兄貴が薬を自発的に吸えるわけもなく、不規則な喘鳴は一向に収まらない



勝「救急車呼んだ！あと5分くらいで着くって！」

そうしてる間にも兄貴の呼吸はどんどん微弱になっていく。勝利が呼んでくれた救急車を待つ間が、永遠と思うほどに長く感じられた







救急隊員「JCS300、バイタルが210/108、脈が120、全身に大量の発汗、呼吸微弱です」


救急車に乗り込むと、救急隊員がすぐに兄貴の身体にモニターを取り付け、搬送先にトランシーバーで現在の状況を伝えてくれる

その間許可をもらった俺たちは、同じくモニターを見ながら応急で処置を施して行く



マ「SAT62、呼吸音かなり弱い……ｯ…サイレントチェストかもしれない！！風磨兄ちゃんアンビューお願い！！聡兄ちゃんはルート確保、勝利兄ちゃんはスクイージング手伝って！！」

風「わかった！！」


マリウスから飛ばされた指示にそれぞれが動き出す

聡は兄貴の腕を掴んで細い血管に針を刺し
勝利は兄貴の胸元に手を添え、押し上げるような形で呼吸介助に取り掛かる

俺は車内に搭載された酸素ボンベにアンビューを繋ぎ、兄貴の口元にあてがった


風「兄貴！もう少しだから頑張れ！！」

俺がバック部分を握るたびに膨らむ胸部
だけど、それ以外の反応は返って来ない


マ「健人兄ちゃん！しっかり！」

勝聡「健人兄ちゃん！！」


全員の必死な叫びが
真夜中を走行する救急車内にこだましていた

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