セクゾ兄弟はお医者さん２

パニック障害 ページ20

聡side



健人兄ちゃんが事故に遭ったと聞かされた時は、マリウスと共に慌てふためいてしまって、ぐしゃぐしゃになるまで泣いたけど
パニック障害と診断されたと風磨兄ちゃんに聞かされた時は、何故か涙の一つすら出なかった

何というか
どう受け止めたらいいのかも分からなくて

それと同時に、あのいつもポジティブで明るい健人兄ちゃんがまさか…っていう、信じられない気持ちと


家に帰って来た健人兄ちゃんと会っても、少し顔色が悪いくらいでいつもとあまり変わらないように見えて
暫くの間は誤診なんじゃないか？ってずっと思ってた







健「……ﾊｧﾊｧ…、ｯ…ﾊｧﾊｧﾊｧﾊｧ…‼︎」

風「兄貴落ち着いて、大丈夫、大丈夫だから」


だけど、それから数日ほど経った夜中
胸元を押さえて苦しそうにしている健人兄ちゃんと、焦ったような表情でその背中を摩ってあげてる風磨兄ちゃんを目撃したとき、本当だったんだ、と
現実を重く突きつけられたような気分だった


勝「はい、薬持ってきたよ
ソラナックスの方でいいんだよね？」

風「そう、ありがとう
兄貴ごめん、苦しいけどこれ飲んで」

健「……ﾊｧﾊｧ…、ｯ…ﾊｧﾊｧﾊｧ…‼︎」


乱れた呼吸の合間に、風磨兄ちゃんが白い錠剤を健人兄ちゃんの口の中に放り込んだ
暫くすると発作は落ち着いたようだったけれど、事実をまだ受け止めきれていない僕は呆然と立ち尽くすことしか出来なかった





風「今は薬 物療法を始めたとこなんだけど、もう一つのメインの薬は効果が出始めるまでに時間が掛かるみたいで、ああやって強い発作が起きた時は頓服薬を飲んでやり過ごしてるって感じかな」


体力を消耗してしまった健人兄ちゃんを部屋に運んで
リビングで風磨兄ちゃんから詳しい説明を聞く
薬を飲み始めてることすら知らなかった僕は、なんだか自分が情けないような気持ちになった


マ「じゃあボクたちが気付かなかっただけで、ここ何日かあんな風に発作が起きてたってこと？」

風「いや、あそこまでのは起きてなかったよ
飲み始めの副作用で吐き気があったりとか、食欲も減ってたみたいで…そういう時にちょっと息苦しそうにはしてたけど、お前らには気付かれないように兄貴なりに気ぃ張ってたのかもな」


あの日から健人兄ちゃんは自分の部屋にいることがほとんどで、いつも一緒に食べてた夕飯も部屋で一人で食べてたみたいだったから、全然気が付かなかった


聡「健人兄ちゃん……」

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