セクゾ兄弟はお医者さん２

喘息再発（健人） ページ1

マリウスside



「ｺﾞﾎｯ...ｺﾞﾎｯｺﾞﾎｯ」


最近明け方になると
隣の部屋から聞こえてくる乾いた咳の音


それは遠い昔、ボクがまだ幼稚園に通っていたくらいの頃にも聞いていた、ある意味トラウマに近い音

同時に思い出すのは大好きなその人が苦しそうに顔を歪めている姿と、それを看病するママの泣きそうな顔
それからボクら弟に辛い光景を見せないように隠そうとしていたパパの無理した笑顔


それをきっかけに今の医者としてのボクがいる訳だけど、でも、出来れば二度と思い出したくない光景でもあることは確かで

マ「…きっと、何かの間違いだよね……」

ボクはベッドの中で、祈るような気持ちのまま
その音が鎮まるのを待っていた







健「おはよ！聡とマリは今日も早いな」

朝7時、キッチンで聡兄ちゃんと朝食の支度をしていると、いつも通りの爽やかさでリビングに入ってきた健人兄ちゃん


聡「健人兄ちゃんおはよ！」

マ「おはよう！」

健「うん、おはよ
2人とも朝食作ってくれてありがとな
風磨も勝利も遅出なのに、なんか俺だけ食べさせてもらっちゃって悪いわ」

マ「いいのいいの！どうせボクたちも食べるし！」

聡「そうそう！それよりさ、健人兄ちゃん最近風邪とかひいてない？」

マ「……っ」



ボクが聞きたくても言い出せなかったことを、なんでもないことみたいに聞く聡兄ちゃん

しかも風邪か、なんて
聡兄ちゃんが健人兄ちゃんの咳の原因に気付いていない訳がない、いや、絶対気付いてる


ボクと聡兄ちゃんの部屋は隣同士
そしてボクの隣の部屋が健人兄ちゃんの部屋だ
ボクたち3人の部屋は2階で、風磨兄ちゃんと勝利兄ちゃんの部屋は1階にある
例え風磨兄ちゃんと勝利兄ちゃんが気付かなくても、毎晩、それも決まって明け方に咳が連続して聞こえていたら、同じ階にいる聡兄ちゃんが気付かないはずがない

たぶん直球で健人兄ちゃんに聞いても誤魔化されるとわかってて、自分から話してもらおうとしてるんだ


健「あー、よくわかったな聡
そうなんだよ、最近なんか明け方になると咳が止まんない時あってさ、うるさくしてごめんな？
でも熱っぽい感じもしないし多分大丈夫！酷くなったら病院も行くしさ」

聡「そっか…まあ仕事も忙しいもんね
無理はしないでよ？」



きっと、会話から察するに、健人兄ちゃんはまだ再発の確信を持っていないというか、気付かないフリをしているんだと思う

それなら尚更酷くなる前に
ボクがなんとかしてあげないと

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