セクゾ兄弟はお医者さん

高熱 ページ41

風磨side



あれから3人仲良く出勤して、すれ違う同僚たちに散々いじられ倒したが
まあ傍から見て俺たち兄弟は仲良すぎだろとツッコミたくなるくらい共依存的な自覚はある、正直
だけどずっとそうして過ごしてきたせいで、今更適切な男兄弟の距離に修正できないのだから仕方ない

ただ、一度だけ兄弟がバラバラになりかけた時が実はあって、ぼんやりと昔を懐古する


それは自分がものごっつ反抗期だった頃

大学受験のストレスも重なって兄弟に、特に兄貴にめちゃくちゃ強く当たっていたことがあって
その頃にはもう両親はいなくて、当たる先が一つ年上の兄貴だなんて我ながらガキ臭いなと思うけど




俺が一方的に兄貴にキレて、兄貴は基本的に相手にしないように冷静でいてくれて、それなのに俺がその態度に更に腹を立てて突っかかって、兄貴も時々堪忍袋の緒が切れて掴み合いになったりして


勝利と聡は当時中学一年生
マリウスに至っては小学生で
俺たち兄二人の喧嘩を見てものすごく怯えていたことを思い出す

特に勝利はその頃から責任感が強くて、間に入って喧嘩を止めようとしてくれたことも何度もあったし
泣いているマリウスや聡を慰めてくれていた




俺の反抗期が自然消滅して、兄貴との関係も自然修復していって、また二人でちゃんと手を取り合って家族を支えていこうと話し合った日、それを聞いて1番泣いて喜んでいたのは勝利だった


泣いている勝利を見て、まだ中学生になったばかりの可愛い弟になんてことをしてしまったんだと俺は猛省して、勝利には今でも頭が上がらないし
兄貴はあの一件以来、勝利をこれでもかと猫可愛がりするようになった



勝利は大人になっても変わらず責任感の強いやつで
実は甘えん坊のくせに上手な甘え方を知らないというか、遠慮してしまうとこがある子だから、ちゃんと気にしておいてあげないとと兄心で思う
それは兄貴も同じようで、早速PHSに連絡が入った



風「もしもし、兄貴？なんかあった？」

健『勝利のことなんだけどさ、病院着いたあたりでちょっと目元赤かったから、たぶんあれしんどいの我慢してたと思うんだよね』

風「え、そんなだった？」

健『うん、若干だけど
これから熱とか出るんじゃないかなって感じ』


正直全く気付かなかった
こういう時、やっぱり兄貴は長男なんだなと思う
本当に弟たちの些細な変化に敏感だ


健『頃合いみて一緒に午後休で帰るかも』

風「りょーかい」


簡潔に要点を話して、俺たちは電話を切った

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