七色幸せ笑話【短編集】 (ページ3)

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「わかった。じゃあ、私が証明する」

「何を？」

「渋谷くんが、最下位じゃないって事」

「どうやって？」

「私が、渋谷くんに勉強教えて、2人一緒に同じ大学に、合格してみせるっ！」

「はぁっ？原田さん、何言っちゃってるの？出来るわけないじゃん」

「出来るわよっ」

「そんな事できたら、逆立ちで校庭一周してやるよ」

「へぇ～っ、それは楽しみな事で。ところで木下くん、逆立ちなんて、できるのかしらぁ？」

「そんなの出来なくていいだろ？どうせ大学になんて受かりっこないんだから。あっ、もし合格出来なかったら、原田さん、なんかやってくれんの？」

「はいっ？」

「僕だけ逆立ちなんて、ワリに合わないよ」

「わかったわよ。合格出来なかったら、私が逆立ちで校庭一周するから」

「へぇ～。原田さんの逆立ち、見ものだなぁ～」

ニヤニヤしながら、席に戻った木下くん

チラリと隣に視線を送ると、トロンとした目で私を見上げる渋谷くんと、目が合った

「………メンドくさ」

ひと言ボソリと呟いて、また顔を伏せた彼の姿、ボンヤリと眺めながら

私、ヤバい………かも

そう思ったら、背筋にツーっと冷たい汗が一筋流れた

それから渋谷くんは、机に伏せたまま全く動かなくって、2時間目の終わりを告げるチャイムが鳴ると、おもむろに席を立ち上がった

「あのっ！」

って声かけたら

「便所っ！」

って言われて、ギンッて睨まれた

トイレから戻ってきたと思ったら、また机で寝ちゃって…

お昼休みは、教室外に逃亡。午後からも、同じように熟睡で……

放課後、いつ起きるのかと、ジッと様子を伺ってたら、気付けば教室には私達しか残っていなかった

「渋谷くん？」

反応なし

「お～い、渋谷く～ん」

動かない

仕方がなく

「これ、今日の授業のノート、置いてくね？よかったら見てみて？」

彼の机の隅にノートを残し、教室を後にした

次の日

私の席には、昨日のノート

隣の席には、渋谷くん

見て……くれたのかな？

パラパラとページをめくってみてたものの、ノートを開いた形跡なんて、あるわけもなく……

「はぁ……」

と、短いため息が漏れた

「あっれ～？原田さん、ため息なんかついて、どうしたの？」

ニヤニヤニヤニヤと……

「………別に」

「渋谷くん、今日も寝てるの？そりゃあそうか。授業についていけない人は、寝てるしかないもんね～」

「……………」

ホント、ムカつくっ！