検索窓
今日:12 hit、昨日:4 hit、合計:17,944 hit

第五十四話 お願い ページ11

「――――は、」


首領の目がみるみると開かれていく。
落ちてしまうのではないかと、心配になる位に。

――吃驚、したと思います。
――でも、こんなことしか、思い浮かばなかったのです。

13歳になれば、きっと愛されない。
ならば、愛され続けられることができる――

“永遠の”12歳でいたいのです。

それも、首領自らの手で。

放心状態の首領に短刀を握らせ、
自分の首に押し当てる。

軽い力でも圧し切れるほどに鋭利だ。
持ち主である私が一番理解している。


「首領」


早く、と目で訴える。

この世界に居る時から、死は覚悟してた。
だから、怖くは無い。

私は、愛されないことが、怖いのだ。


「……………………Aちゃん」

―――――――――――――――――――――――――…

私の呼びかけに「はい」と返事をする。


――どうして、そんな事を云うのかね?
――私は、君の誕生日を“祝いたい”のだよ。


喉まで出かかった言葉を飲み込む。
今、大切なのは自分の意見を伝えることでは無く“止める”ことだ。


「……残念だけど、それは聞けないお願いだよ」


ゆっくりと短刀を首から離し、Aちゃんに返す。


「……そう、ですか…………そうですよね」


悲しげな表情をした後に、何かに納得したような顔をする。


「ごめんなさい、首領。 お時間を取らせてしまって。
 ……仕事を、いただけますか?」


次の瞬間には爽やかな笑顔を浮かべていた。
まるで、心が晴れたかのような。

突然の変わり様に気圧されつつも、スグに切り替え仕事を渡した。


 



(近いのに、云えない言葉)

第五十五話 すれ違い→←第五十三話 タイムリミッツ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (61 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
265人がお気に入り
設定タグ:文豪ストレイドッグス , 森鴎外 , 文スト   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

臣民(プロフ) - みぃさん» ここまで閲覧して頂き、誠に有難う御座います! 私が書く森さんはただでさえぶっトんでいるのに次回作は更にそれを加速させそうです(苦笑) 少女漫画の様にまたキュンキュンとさせられることを目標に、頑張ります! (2018年7月16日 13時) (レス) id: d39d595e1e (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 幸せな終わり方でしたね!! キュンキュンしました! 次回作楽しみにしています! 完結お疲れ様でした! (2018年7月16日 7時) (レス) id: d688bcfef3 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:臣民 | 作成日時:2018年5月27日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。