ささえあい。 (ページ46)

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『今日はありがとう、マサさん。すっごく美味しかった』

「喜んでくれてよかった」

今日行ったところはお寿司も美味しくてまた行きたいなと思った。今度は…マサさんが日本に帰って来た時に。

「今度は、俺が日本に帰って来た時かな」

『え』

「ん？」

『あ…私も、そう思ってて』

心を読まれたかと思った。でもマサさんは優しく笑ってそうなんだ、と言ってくれた。お酒を飲んで気を紛らわせようとしてたのに寧ろどんどんお酒に呑まれていくみたいな、ドキドキしていくのが分かった。本当、心臓に悪いよ…

『も、もう、ここで大丈夫だから』

なるべく火照った顔を見られないように逸らしたとはいえ、ここは宿舎のエレベーターの中。逸らすにも限界がある。というか逸らせない。お酒飲んだの失敗だったかも…あぁ、どうしたんだろう。何でこんなにドキドキしてるの…！？

「…大丈夫じゃない」

『！』

エレベーターが開くと同時に逃げるように出ようとしたその時…

「俺が大丈夫じゃない」

マサさんが私の腕を取って、引っ張るようにエレベーターから出ていた。一体何が起こったのか…正常に働いていない頭はまた更にパニックを起こして、とうとう思考停止してしまった。何で腕を取られてエレベーターを出たのか、何でマサさんは大丈夫じゃないのか、何で…マサさんの手が震えているのか…

『…マサ、さん…？』

「…」

基礎体温よりも確実に手が熱いのはアルコールのせい。その震えに気付いた瞬間、マサさんはぐいっと私の腕を引っ張るようにぐんぐん足を進めた。

『わっ』

当然、マサさんとの歩幅は合わなくて、転ばないように一生懸命早足でついて行くのが精一杯。そして足を止めたのは、私の部屋だった。

「…」

何も喋ろうとしないマサさん。それどころかまだ手は震えていて。このまま帰すにも心配だから、開けるね、と声を掛けた。私の声も心做しか震えていた。