ささえあい。 (ページ35)

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無事に世界選手権の切符を獲得した龍神NIPPON。
日本に戻ってきました！
石川くんのおかげで前みたいにまたマサさんとも話せるようになり、私達に日常が戻ってきた。

『マサさんのコース打ち凄いよねえ』

「凄くないよ…出来て当然」

次の大会はグラチャンバレーで、合宿は一ヶ月に渡って行われる。

『次の大会にも期待だね』

そのグラチャンが終われば…マサさんはドイツに行く。

「うわプレッシャーかけてきた」

『そんな事ないよ！』

どうしてあの時、石川くんの名前が出てきたのか、本当のところは知らないけど、その本人に元気づけられちゃ何だか聞くにも聞けない。

『ここでいい？』

「うん、ありがとう」

マサさんは最後まで一人残ってサーブ練習をする。だから私も残ってお手伝い。ボールを8箇所に置いたコース打ちの練習だ。

『ナイスコース』

ピンポイントで置いたボールに当てられるなんて凄いとしか言い様がない。だけど何だろう…一本打つごとにマサさんは腰を抑えていたのが気になった。そして最後の1個まで来たところで、マサさんがぴたりと手を止めた。

『ボール、無くなった？』

「…ある」

それでも打つ気配が無いから益々疑問に思う。

『もしかして何処か傷めた！？』

例えば腰とか…！！

「Aちゃん！」

『は、はい！』

突然呼ばれて背筋が伸びた。

「っ……やっぱ何でもない」

かと思いきや、顔を伏せて前髪をくしゃりと歪ませた。ネット越しだから表情はよく見えなくて、マサさんが何を考えているのかも読み取れなかったけどこれだけは分かった。
マサさんの顔が、いつもより赤くなっていた。でも分かったのはそこまでて、それ以上の事は何も分からなかった。
お水を飲んで集中し直したであろうマサさんはフルフルと頭を振って大きく息をつき、最後の1個目掛けて強烈なサーブを打ち込んだ。