ささえあい。 (ページ34)

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世界選手権出場をかけた試合前の選手に、私は良くない事を言ったのかもしれない。

『はあ…』

でもどのタイミングで言っても合宿の後には試合があるから結局、早めに言っておく事に越したことはない。

『あぁ…』

でも何でよりによって誕生日なんかに言っちゃったかなあ私！！

「おはよう、寺島さん。よく眠れた？」

今日からその世界選手権出場をかけたアジア最終予選が始まる。あれから約一週間、マサさんとはほとんど業務的な話しかしていない。
私の仕事は選手のストレスフリーなのに…まさか石川くんに助けられるなんて…

『おはよう。一応それ、私の台詞なんだけど…』

石川くんはよく私の仕事を奪っていくなあ。

「だって最近ずっと顔色悪いんだもん。マサさんの事でしょ」

『！！』

な、何故分かる！？

「何があったか知らないけど、大丈夫だと思うよ。プレーにも支障出てないし。考えすぎだって」

練習前、ぞろぞろとサブアリーナに入ってくる選手達は勝機に満ち溢れている。勿論、マサさんも。

『…でも』

「勝利の女神が笑ってないと勝てるもんも勝てないよ」

『！』

元気付ける為に言った何気無い一言にドキッとした。勝利の女神…久しぶりに聞いたそれに懐かしさを感じたから。

『…うん、そうだね』

「っ……じゃあ、今日は勝ちますか！」

『ふふ、何その言い方』

「全勝して世界選手権に出る！その為の1勝目！」

皆と同じように石川くんもやる気いっぱい。
今日は勝てる気がした。

「何やってんだろ、俺…」

これだから、俺は割り込めねえんだよ…