28 ページ30
「「「誕生日おめでとう！！」」」
「ど…どもっす」
私を物凄く困らせている人は今、皆に誕生日を祝われて物凄く恥ずかしそうにしています。ちょっとだけざまあみろと思ったのは内緒。
そして悩みに悩んだ誕生日プレゼントはこの場では渡さない。既に石川くんと関田さんに彼女だと勘違いされたから私も流石に勉強しますよ…だから、私のプレゼントはまた後で渡す。
あの事も、いつまでも先延ばしにしちゃ駄目だから…
『どうぞー』
「お邪魔します…」
宿舎に戻り自由時間になったところでマサさんを部屋に呼んだ。部屋に誰かを入れるのはこれが初めてで、色んな意味で緊張している。間違いが起こるとかそんな事は絶対無いんだけど、言わなきゃいけない大事な事があるから…内心かなりヤバい。
『25歳おめでとう』
「ありがとう。さっきのマジでサプライズとか恥ずかしいからやめてほしいわ」
『ふふ、じゃあ予告しておけばよかった？』
「それもそれでオーバーリアクション期待されるじゃん」
私の借りている部屋は一人部屋で、マサさん達は二人一部屋で部屋を使っている。私だけ一人部屋で申し訳ないというのも、部屋に人を入れない理由の一つだ。マサさんは一人用のソファに座り、私はベッドに腰掛けてさっきまでの話をしていると、少しだけ自分の中の緊張感は解れた。この時だけはね。
『じゃあ私からもサプライズ』
「は？」
『おめでとう、マサさん』
丁寧にラッピングされた袋を差し出した。サプライズが苦手なマサさんに二度目のサプライズ。一度目は勿論、龍神NIPPONに私が招集された事だ。
「あぁ…ありがと」
『何そのうっすい反応！』
思わず笑ってしまった。
「いや、嬉しいよ」
開けていい？と言う問にうん、と答えて包装を開ける。先に開けたのはスポーツショップの包装。私がプレゼントしたのはアンダーシャツと練習着だ。
「すげー実用的」
『駄目だった！？』
「ううん、めっちゃ使えるから普通に嬉しい」
普通にって何よ、と謎の日本語にまた笑ってしまうが、その間にもう一つの包装紙に手を付ける。
「ああ…」
『…少しでも早く順応してバレーが出来る環境にしてもらいたくて』
ドイツ…その固有名詞はお互いに突き刺さる。さっきまで解れていた緊張の糸がピンとまた張り詰めた。ちゃんと…私の意見を、言わなきゃ…
『…ごめん。ドイツには、行けない』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 102人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しおん | 作成日時：2019年10月26日 6時
