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「…Aちゃん、一緒に帰ろ」
振り返ると、ぎこちない笑みを浮かべる青子ちゃんがいた。
「うん」
私も笑顔で短く返事を返した。
上手く笑えているだろうか。
「あ、快斗は用事があって早めに帰ったよ」
青子ちゃんの隣にいるはずの快斗がいない事に首を傾げていると、青子ちゃんがそう説明してくれた。
「……そっか」
オレンジ色に染まったコンクリート。
夕暮れ時を表すそれを見つめながら、話を切り出すタイミングを見計らった。
「…………あの!青子ちゃんと快斗は……その、付き合っているの?」
沈黙の中思い切って声を張り上げると、思ったより大きな声が出てしまったようで、青子ちゃんは驚いた顔をした。
再び、暫くの沈黙。
この静けさが、YESという分かり切った答えを表しているようで。
「……あ、やっぱり何でもない!そりゃぁ、付き合ってるよね、ごめんね」
「…………付き合ってない。付き合ってないよ」
ずっと下を向いて歩いていた青子ちゃんは、急に足を止めて顔を上げた。
その顔は、今にも泣きそうで。
必死に涙を堪えているようだった。
「え?でも……」
「見てたんでしょ?土曜日。青子が快斗に告白するところ」
どうやらその事は、とっくに見透かされていたようだった。
「でもね、青子、振られちゃったんだ。快斗、好きな人がいるんだって」
その言葉に、少しだけ驚いた。
青子ちゃんじゃないとすると、快斗の好きな人は一体……
「きっとAちゃんだよ!Aちゃん可愛いもん」
微笑む青子ちゃんに、そんな訳ないと否定する。
……それでも心のどこかで、そうだったらいいな、と思ってしまう自分がいて。
青子ちゃんの今にも泣きそうな顔を見たら、自分の心はこんなにも汚かったのかと呆れてしまった。
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華美 - 木実こむぎ@Project KZ副隊長さん» 初期の頃からですか!ありがとうございます嬉しいです!これからも頑張ります〜 (2019年6月21日 19時) (レス) id: 06514a18af (このIDを非表示/違反報告)
木実こむぎ@Project KZ副隊長(プロフ) - うわぁぁあ( ;∀;)終わってしまった、、、初期の頃から読ませていただいてました!番外編待ってます!( ´ ▽ ` )ノこれからも頑張ってください! (2019年6月21日 18時) (レス) id: 7f9bbdec25 (このIDを非表示/違反報告)
華美 - 雨上がりのcrewさん» わわ、ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2019年6月19日 10時) (レス) id: 06514a18af (このIDを非表示/違反報告)
雨上がりのcrew(プロフ) - すごい。。。この作品私得←これからも更新頑張ってください!! (2019年6月16日 15時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華美 | 作成日時:2019年5月7日 21時