Episode ONE-2 ページ3
「お待たせ、ジン。行こう」
「あ? あぁ……」
「これ、ジンの車? ポルシェだっけ?」
「よく知ってんな、カルーア。そうこれはポルシェ。ポルシェの356A随分昔の車だ」
「ふーん。可愛いじゃん」
「か、かわいい???」
「うん。カエルさんみたいで可愛い」
可愛いって言われたのが気に食わないのか驚いたのか知らんけど、ジンは変な顔をしている。
相変わらず変な奴だ。
暫く、ジンは車を走らせる。
ただの道。面白くもない、道。
おもむろに車を停めた。
「ターゲットはアイツだ」
轢き逃げって言うからトラックとかミニバンとかワンボックスカーを想像してたけど、ジンが指さしたのはただの軽自動車だった。
「ふーん。分かった」
そう言って私はポルシェ356Aを降りる。
なかなか良い乗り心地だったぞ、カエル君。
軽自動車を捉えて、近づく。
太腿にハンドガンがあるのを再確認する。
中にいる江原崇ってやつはなんか、いかにも怪しそうなオジサンだった。
私の存在に気付くとニタァって笑って手招きをする。
首を傾げて、引っかかったふりをして近付く。
「なぁに? おじちゃん」
「おじちゃん、迷子になっちゃったんだよ。道、教えてくれない?」
そっちから来たなら、ラッキーでしかない。
車に乗り込んで、左胸を撃ち抜く。
引き金は2回引く。ダブルタップで十分でしょ?
「良いよ?」
「ありがとう! お礼にお菓子あげるよ!」
いらないし、受け取る事はないよ? アンタは私にお菓子を渡す前にしぬんだから。
「わーい! どこに行きたいの?」
「車の中で教えてくれない? 地図とかあるからさ!」
「わかったあ!」
何も知らないコドモのフリをして、車に乗り込む。
江原崇は相変わらず、気持ち悪い薄ら笑いをしている。
「おじちゃん、どこ行きたいの?」
そう言って、軽自動車の助手席に乗り込む。
あれ? このおじちゃん、ズボンもパンツも履いてない。
「おじちゃん、パンツは?」
「そそそんなのいらないんだよおおおお」
ヤバい奴だ。
おじちゃんの手がスカートに入ってくる。
なんで?
「ん?」
おじちゃんが、ホルスターに触れて、違和感を覚えた様だ。
ぺろーんとスカートを捲られる。
「何すんのよ!」
学校で流行っているスカートめくり。
男の子にやられるといつもどこかしらをひっぱたく様にしてる。その癖でつい反射的におじちゃんの頭を殴ってしまった。
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作者名:英 優美 | 作成日時:2021年7月21日 21時