独:朝日に向かっておはよう ページ7
今日も私は早起きだ。
目覚まし時計の音は耳障りだったが、気分はとても晴れやかで気持ちがいい。
しかし、晴れやかよりもうわついている、という方が近いのかもしれない。
まだ人が斑にしかいない道を自転車で気持ち良く走りながら、昨日のことを思い出す。すると自然と上がっていく口角。他から見れば気持ち悪い女だと思い表情を引き締めるが、赤信号などのちょっとしたことで、すぐに戻ってしまった。
風が頬を撫で、こそばゆくてまた顔がほころぶ。
今日もルートヴィヒさんは早く来ているだろう。
どんな話ができるのか、今からとても楽しみで仕方がなくて、早く会いたい、とペダルを漕ぐスピードを速めた。
仕事場の自転車置き場に自転車を停め、鞄を手に持ち歩き出す。
長い廊下にコツン、コツン、と足音が響いている。
大きな窓の外からはバイクの音が聞こえる。おじさんかな、と思いチラリと見てみるが、ヘルメットを被っていて分からなかった。
扉を前にただ立ち尽くす私。
緊張して鼓動が速くなり、頭がフラフラしてくる。
いざ彼に話し掛けようと思うと、胸がドキドキする。
でも、これじゃ駄目なんだ。
高鳴る胸に蓋をして、バチンと頬を平手で叩く。
「よし！」
会議室に入り、私は一直線にルートヴィヒさんの元へ歩いて行く。
「るっルートヴィヒさん……！」
額から流れ出る冷や汗。
名前を呼ぶだけで息切れしそうな私に気付かず、彼は視線をこちらに向ける。
「ああAか、おはよう」
不器用にはにかむ彼の姿は、太陽の様に眩しくて、目が溶けてしまいそうだ。
大好きな彼の笑顔を見られる、それがとても嬉しくて、叫びたくなる。嬉しくない訳が無い。
だから、彼に負けないくらいの笑顔で、元気よく言おう
「は、はい！おはようございます！」
静かな会議室に響き渡る裏返った私の声。
私は笑った。恥ずかしかったから笑った。
すると彼も笑った。面白そうな、申し訳なさそうな、楽しそうな、なんともいえない顔で笑っていた。
彼の笑顔の後ろにある、窓から差し込む白い朝日が眩しい。
きっと外は寒いのだろう。
暖かい部屋の中、聞こえるのは二人で笑い合う声だけで、外の木にとまる小鳥だけがそれを不思議そうに眺めていた。
＿＿ああ今日も、良いことがありそうだ。
仏:春のお散歩*maoさんリクエスト(ツンデレにできてますかね？)→←独:朝日に向かっておはよう
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そら色ぱんだ(プロフ) - イチゴフラペチーノさん» コメントありがとうございます。その言葉を待っていました！後でフェリちゃん視点の話を書く予定ですのでそちらで分かると思います。でもヒントを出すとしたら、フェリちゃんのお願いは絶対叶いますよ。 (2017年8月5日 11時) (
レス) id: a29f2cd473 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴフラペチーノ - フェリちゃんが主人公のお話でフェリちゃんとルートが何をお願いしたのか気になります！ (2017年8月5日 0時) (レス) id: e3c16ab556 (このIDを非表示/違反報告)
そら色ぱんだ(プロフ) - 小夜さん» ありがとうございます！その一言でやる気が溢れてきます！ (2017年5月14日 12時) (レス) id: 115534a937 (このIDを非表示/違反報告)
小夜 - とても面白かったです！頑張ってください (2017年5月12日 23時) (レス) id: 1ce20541ad (このIDを非表示/違反報告)
そら色ぱんだ(プロフ) - maoさん» それはよかったです！ありがとうございました！ (2017年4月30日 12時) (レス) id: 115534a937 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そら色ぱんだ | 作成日時：2017年2月19日 3時
