灰色の空に隠れた未来【3年A組】

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いつもより甘ったるい空気に包まれた校舎









ときめき立つ女子をやたらと気にする男子達









2月14日バレンタインデー当日









「勝負だ甲斐!!!!」


「は？」








「辞めとけ、石倉…」


「お前それで毎回負けてたじゃねぇか」


「過去は過去、今は今だ！」


「ま、甲斐は何個貰ったとしても肝心の相手から貰えないと意味ねぇけどな？」


「…っは!?」


「分かりやす…」


『何の話？』


「いや甲斐が凄い分かりや…ってA!?!?!?」






ズザザザザと音を立てながら後ずさる甲斐軍団





「まっまさか「小説あるある」の最初から…」


『何よく分からない事言ってんの…ここ教室の入口だし、私今来たばっかりだけど』




そう言うと一斉にほっとしたような表情を浮かべられた








(……どういう事？)








まぁいいやと目的のものを袋から取り出す




「そ、それってまさか…!!」

『？バレンタインのチョコだけど…はい』





甲斐軍団に包装されたそれを渡す





「もしかして手作りとか…？」


『うん。ガトーショコラ作ってみたんだけど…甘いの苦手だったりした…？』


「い、いや別に大丈夫だ!!寧ろ好きだし!!!!」


「何焦ってんの甲斐…」


『よかった…私も好きなんだよね、甘い物』






そう言うと何故か固まる甲斐くん


何故か須永くんや石倉くんも顔が赤くなっていた





「……ｯ」


「おい甲斐、そっちの好きじゃねぇぞ…」







石倉くんが甲斐くんに何かを耳打ちするが、生憎何を言っているかまでは聞き取れなかった







『あの…？』


「あ、あぁ甲斐なら大丈夫だ。チョコありがとな！」





何処か焦った様子でお礼を言う須永くんに首を傾げながら澪奈の元へ向かった









(…あの笑顔は反則だろ…ｯ)


(………甲斐くん達、なんか変だったな…)

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