柱追放までの40日間

9話 ページ12

卯月邸の前にはまたあの時の男が一人、




前のような迷いはなく門を叩く


ニ、三回ほど同じ事を繰り返したが一向に返事はない



もはや生活音も聞こえず生きているか不安に成る程だった。




男は深いため息を吐くと門に手をかけた






「．．．不死川さん？｣



　
不死川と呼ばれた男が振り向くとそこには見慣れた人が一人、




「．．．．胡蝶｣






「また会いましたね。不死川さん｣




胡蝶は片手に何かをくるんだ布を持っていた。


それに気づいた不死川がそれを聞く前に胡蝶は答えた




「ご飯ですって。Aさん、家に漬物あるからいいって言うんですけど、流石に死んでしまいますから｣



それに、と続ける胡蝶は終始笑顔だが、どこか不死川を睨んでいるようだった。




「今、Aさん疑心暗鬼で私も信用してくれてないんです。これも受け取ってくれるか心配で、｣



これ、と言われた物の布を胡蝶がほどくと一口大のおにぎりが数個入っていた。



それがどうしたんだ。と言いたげな不死川にもう一度笑顔を向けると胡蝶は言葉を続けた






「不死川さんに殴られた所、まだ痛いらしいですよ。｣




胡蝶は再度不死川を見ると、不死川の視線を無視して門に入ろうとした



勿論あの言葉には皮肉を込めた言い方にちがいない。

不死川はしばらく呆然としたが、すぐに胡蝶の方に目を向けた。





「来るなって言いたいんなら率直に言え気持ち悪りィ｣





胡蝶は不死川には目を向けず動きを止めた


だがすぐにまた門を開け、庭へと足を踏み出した



不死川は話を聞かない胡蝶へ苛立ち始めたが、すぐに落ち着いた


自分に非があるのを理解しているからだろう









「癒未．．．あの嘘吐き女に一発いれてきた｣






ぶっきらぼうに吐き捨てた短い言葉は、



胡蝶が動きを止め、こちらを見るには十分な言葉だった。




「．．．は？｣




胡蝶は苛立ちと共に沸いた疑問を率直な言葉にして、不死川に投げ掛けた

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