1つ駄菓子に追加があるとするならば ページ47
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私が17歳、いわば高校2年の頃だっただろうか。
暑くて嫌になる夏休みのとある日、私は島にある祖父母の家へ行っていた。
この日はお盆だったため、島にある実家へ帰る目的である船の乗客が多かったと記憶に残っている。
私と親もまたその目的の一部だった。
先祖の墓に線香を持って行って手を合わせ、そして家に泊まることもなく夕方になる前に、船に乗り自分達の家に帰る。
ただ墓参りをするだけだというのに、わざわざ遠くから車で時間をかけてここまで来る父と母は律儀というか、真面目というか。
せめて一泊はするだろう。
そんな両親に俺は少し窮屈さを感じていた。
俺は祖父母の事が比較的好きだった。
戦時中の話や祖父母の若い頃の話は聞いていて飽きなかった。
そんな祖父母に笑顔で迎えられ、いつもなら早速とばかりに墓へすぐ向かうのだが、この日は違った。
先に墓に行っていなさいと父に言われ、俺は一人で一族の墓に向かった。
毎年歩いている道を、ゆっくりと歩いた。
そして、私はAくんと出会った。
彼は当時6歳。小学一年生だった。
友達100人できるかな? と歌える時期だ。
最初は、墓地の近くに小さい子供が一人立っていて、俺は気にすることも無く通り過ぎようとしていた。
でも、男の子は泣いていた。
つい足を止めて俺は彼に話しかけた。
「どうしたの、どこか痛いの?」
「っうぇ、ひっく」
「名前は?」
「うっ、ぐずっ、A…」
「Aくん、お父さんとかお母さんは?」
「いないの…うぅ…どっかいったぁ」
子供特有の興味がある方へ行く性質で、Aくんがなにかに興味を引かれていた瞬間に家族と離れてしまったのだろう。
しっかりと親御さんには手を握っていてほしいものだ。
「どこ歩いてきたか分かる?」
「わかんなっぃ」
Aくんのサラサラとした髪を撫ぜながら、涙を落ち着かせる。
彼はとてもいい子で、少しすれば泣き止んでいた。
その後も彼が家族と会うきっかけになりそうなことを聞いたが、分からないらしく、俺がAくんを連れて行くというのは出来なさそうだった。
だから、俺とAくんで楽しいお話に花を咲かせた。
彼の親御さんを待つ作戦だ。
俺の親はまだこちらに来る様子はなかった。
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壱(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます(*^^*) (2019年11月2日 22時) (レス) id: 16a8646f1c (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 主人公の言葉に凄い笑いました笑笑 (2019年10月27日 8時) (レス) id: 92785b223f (このIDを非表示/違反報告)
アリア - 壱さん» 一人でテンション上がりまくってました!あと15ってショタじゃない気してきました... (2019年7月29日 11時) (レス) id: 39676cde20 (このIDを非表示/違反報告)
壱(プロフ) - アリアさん» 気づいてしまいましたか…!(嬉)主人公がひっそりいました。 (2019年7月28日 19時) (レス) id: 16a8646f1c (このIDを非表示/違反報告)
アリア - 今気づいたけど設定2に[先輩を攻略するのは難しい]メンバーがいる!今ごろ気づいた! (2019年7月27日 10時) (レス) id: 39676cde20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひぃ | 作成日時:2019年2月25日 21時