駄菓子が20と4つ ページ25
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「え、海?」
「そうだよ。行ってみないかい?」
母さんが帰った翌日、懲りもせずお兄さんは店に来ていた。
そして、軽く話している中、急に海に行こうと言われた。
ちょっと意味がよくワカラナイ。
僕今からイチの散歩に行くつもりだったんだけど…
「ああ。もちろんイチも一緒に行こう。」
「…めんどくさ…」
「聞こえたからね? さあ行くよ! Aくん」
小さく呟いた筈の言葉が拾われた。
イチのリードを持っていない方の手を掴まれて、お兄さんに引っ張られるようにして散歩に出発した。
お兄さんはノリノリだ。
「Aくん、海に行ったことはあるかい?」
「いや……あ、小さい頃にこの島のどこかの海辺に行ったことある。」
海と呼んでいいのかわからないけど、近い場所には行ったことがある。
僕は、当時のことを思い出しながら答えた。
「私はここに越してくるまで海というものを生で見たことがなくてね、いやあ、新しい創造が出来るよ。」
新しい創造とかよくわからないけど、お兄さんが元は内陸の人だったってのはわかった。
イチとお兄さんに引っ張られながら、着いた先は、小さな浜辺だった。
「ここからはいい具合に夕日が綺麗に見えるんだ。」
「へー…でも今朝だから見えないですよね。」
「そういうことはつっこまないでほしかったよ…いつか見に来よう。」
「その前に帰ります」
「まだいける」
「はぁ…」
深く息をつきながら、打ち寄せる波のギリギリ届かないところを歩く。
イチは海水にザブザブ入っていった。強い力で引っ張るので、イチが深い場所に行かないよう、僕の全腕の力を使って食い止めようとした。
「ちょ、と、まっ、……!」
「!!」
僕はバランスを崩して、イチに引っ張られるまま海にドボン。お兄さんも僕を助けようとした流れで、ドボン。
……やらかしたな。
入った海の場所が危ないところじゃなくてよかった…
幸い、僕もお兄さんも怪我はなく、全身が水浸しになったくらいだった。
浅かったのも幸運だな。
「だ、大丈夫かい…!?」
「すみません…多分大丈夫」
お兄さんに手を引かれて立ち上がり、水場から離れた。
「やってしまったね」
「そうだね」
僕とイチとお兄さんの海水で濡れた姿が滑稽で、二人で笑ってしまった。
…笑ってる場合じゃないと慌てて、店に帰った。
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壱(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます(*^^*) (2019年11月2日 22時) (レス) id: 16a8646f1c (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 主人公の言葉に凄い笑いました笑笑 (2019年10月27日 8時) (レス) id: 92785b223f (このIDを非表示/違反報告)
アリア - 壱さん» 一人でテンション上がりまくってました!あと15ってショタじゃない気してきました... (2019年7月29日 11時) (レス) id: 39676cde20 (このIDを非表示/違反報告)
壱(プロフ) - アリアさん» 気づいてしまいましたか…!(嬉)主人公がひっそりいました。 (2019年7月28日 19時) (レス) id: 16a8646f1c (このIDを非表示/違反報告)
アリア - 今気づいたけど設定2に[先輩を攻略するのは難しい]メンバーがいる!今ごろ気づいた! (2019年7月27日 10時) (レス) id: 39676cde20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひぃ | 作成日時:2019年2月25日 21時