駄菓子が20と1つ ページ22
お兄さんから無言で、まだ留まっていてほしいオーラが出され、背中を押されたので、母さんにおずおずと相談し始める。
「…お、おばさん…あのさ…」
「どうしたの?」
「まだここにいたいなぁ……なんて…」
ちらちらと母さんの顔色を伺う。
なかなか言わない台詞なので、緊張して声が少しずつ小さくなった。
「まだいたかったの？ 全然いいわよ〜」
「Aまだいてくれるのねェ。嬉しいわぁ」
あっさりぃ…
母さんにも許可がとれたし、ばあちゃんも歓迎ムード。
でも、母さん迎えとか面倒なのに大丈夫かな…
隣に立っているお兄さんは、嬉しい感情が駄々漏れなニコニコ笑顔だった。
まあ、僕も口角が上がらないわけじゃない。
「一郎くん、ご飯食べていく？」
店の奥に行くばあちゃんが、お兄さんに向かってそう訊いた。
今はお昼頃だ。
お兄さんは、少し悩んだ後、頷いた。
「A、手伝って」
先に台所で準備を始めていた母さんに、呼ばれて仕方なくそこに行く。
「わあ。Aくんの手料理？」
のんきに言うお兄さんに、
「違う!」
と、強く否定した。
僕はお皿に盛り付ける役だから、僕の手料理じゃない。ばあちゃんの手料理だ。
元々、ばあちゃんが母さんを迎えに行く前に、昼食の準備をしていたのであまりやることはなかった。
「はい。いただきます」
ばあちゃん、母さん、お兄さん、僕が机を囲んで合掌した。
昼食は、ちらし寿司と味噌汁。
ちらし寿司には、僕の苦手なエビが入っていたし、味噌汁は僕の苦手なカキのダシがとられていた。
正直、ばあちゃんの作った料理は好きだけど、入っている食材に納得いかない！
なんで高確率でエビが入ってるの？
…ばあちゃんに面と向かって文句なんて言えないので、母さんの皿にいそいそとエビを移す。
「Aくん、エビ嫌いなのかい？ 私も食べようか？」
親切なお兄さんの皿にもいそいそとエビを移した。
「よかったわね。エビの引き取り先が増えて。」
からかってくる母さんに少し睨んでおいた。余計なことを言わないでほしい。
ほら、今ばあちゃんが申し訳なさそうな顔した。嫌いなもの入れてごめんねェって言った!
ごめん。ばあちゃん。まだあるエビはおとなしく食べるよ。カキは息止めて乗り越えるよ。
「ごちそうさまでした」
食べ終わった後はお皿の片付けをしないといけないのだが、もちろん僕は進んで手伝いにいった。
「Aくんは偉いんだねぇ…」
お兄さんに褒められ、鼻高になった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 282人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
【BL】家政夫を攻略するのは難しい【オリジナル】 【BL】｢し｣かしながら、僕と契約したSランクの守護神が、性格がドSの疫病神だった...
【BL】酒場の店主は落とせない2nd【オリジナル】もっと見る
「男主」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
壱(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます(*^^*) (2019年11月2日 22時) (
レス) id: 16a8646f1c (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 主人公の言葉に凄い笑いました笑笑 (2019年10月27日 8時) (レス) id: 92785b223f (このIDを非表示/違反報告)
アリア - 壱さん» 一人でテンション上がりまくってました!あと15ってショタじゃない気してきました... (2019年7月29日 11時) (レス) id: 39676cde20 (このIDを非表示/違反報告)
壱(プロフ) - アリアさん» 気づいてしまいましたか…！(嬉)主人公がひっそりいました。 (2019年7月28日 19時) (レス) id: 16a8646f1c (このIDを非表示/違反報告)
アリア - 今気づいたけど設定2に[先輩を攻略するのは難しい]メンバーがいる!今ごろ気づいた! (2019年7月27日 10時) (レス) id: 39676cde20 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひぃ | 作成日時：2019年2月25日 21時
