好きだから。《紫》 (ページ22)

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side 辰哉

散々泣いて、そのまま寝てたみたいだ。

起きて目を少し逸らすとオレンジ色の空。

あ、寝すぎた。夜寝られるかな。

正直こんなことに頭を使えることが嬉しい。

昨日の夜は『生きたい生きたい生きたい生きたい生きたい生きたい』。

生きさせてくれと神様に願うばかり。

神様なんて居ない、親が居なくなってからはそう思ってた。

だけど、そんな神様に願うくらいなんだ。俺は体力的にも神経的にも限界は既に来ていた。

でも頑張れたのは。

『A』の存在。

どんなに辛くても、Aを思い出すと頑張れてしまう。

俺のメンタル面での問題が解決した。どんなに辛くても、Aを思い出せば頑張れる。

好きな人の力ってすごいんだな。

俺の場合、メンタル面で相当やられてた。

だから、解決した今、人工呼吸器なんてすぐ取れて、普通に歩けて、普通に会話ができる。

普通に飯食えるし、自然に笑える。どれもこれも普通じゃないか、って思うかもしれないけど、

みんなからする『普通』を送れてなかった俺や今も病気と戦う子たちから言わせてもらうと、

幸せ、なんだよ。幸せすぎるんだよ。

あいつらと初めて病院で笑いまくったあの日から、もう1ヶ月半は過ぎてしまったけど。

そろそろ、病衣じゃなくて制服でまた会えそうだよ。