I/O -a.b.i.l.i.t.y.-1 [D&R]

In combat/開眼 2.R ページ35

プシューーーー…！



「っ！
な、なにっ？！」



ハッキリと聞こえてくるスプレーの様な音に驚きながら見えない視界の中で目線を右往左往させる。

するとそれはこの部屋を充満させる為に放出されていたらしく、どこか甘ったるい匂いが俺を包んだ。



「はぁっ、う……なんだ、これ…、っ」



決していい匂いとは思えない科学的なガスに目眩を覚えて口元へ手を移す。

しかし部屋にガスが回り出して数分後。

それを吸い込み続けていた俺の体に異変が訪れた。



「ふ…、ん…っは、っく…！」



急に意識が朦朧とし始め、体がずくんと重たくなって力が抜け、思わず床へと体を崩れ落とす。

その間に呼吸すらも浅いものへと変わり、突然の事態に恐怖が襲ってきて手先が震えた。



「はぁ…はぁっ…、も…、む、り……っ」



暗闇の中で動かなくなってゆく思考と体に不安や緊張でピークに達した感情が危険信号を俺へと送る。



甘ったるい匂いに吐き気までする


体、動かねぇ…息苦しい…


俺……このままだとどうなるんだ…？


嫌だ。誰か。


誰か

助けて。



「み、んな…っ、たすけ…て……」



朦朧とした意識の中で呟く言葉は思いの外弱々しいもので、ガスの音によって掻き消されてしまう。


アハハ…俺、死ぬカモ……


この緊急状態な空間の中で虚しく自虐した後俺は半ば諦めた様に目をつぶり、夢へと意識を手放した。

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