【黒子のバスケ】愛しているから閉じ込める【赤司征十郎】

Story...21 ページ23

.

[赤司side]


Aの瞳が大きく揺らいだ気がした。

Aの過去は知っている。
Aも俺の過去は知っている。

婚約の話をした日に夜が明けるまでお互いの今まで話せなかった事を話した。


だからAの母親が事故で亡くなりAの父親は不倫をし、外に子供を作り家を出ていった事も聞いた。

その話を聞いたとき、Aは同情は要らないと、同情するくらいなら傍に居てほしいと言ってきた。


言われなくとも居るさ。
何があろうとAを一人にはしない。


「征十郎さんがそんな人じゃないと分かっていますし、信じています。でも分かっている筈なのにどうしても治らないんです」
「無理に治そうとしなくていい。ゆっくり傷を癒していこう」

とAを抱き締めて頭を撫でる。

「俺は部屋を滅茶苦茶にされたり、傷を付けられたりすることよりもAが笑っていてくれる事が何よりも支えだ。俺はAのこの笑顔と心に惚れたって言っただろう？」

とAの頬を包み顔を覗き込む。
Aと目を合わせるとAは悲しそうな顔をする。


「Aが笑っていてくれるならどんな困難にも立ち向かえる。頼むから離婚なんて考えないでくれ」

と言うとAは悲しそうな顔をしたまま頷く。


「じゃあ折角の料理が冷めてしまう前に食べようか」

とAの隣に俺の箸や食器を持ってきて座る。


この時Aにもう一度プロポーズをしようと決意した。
日付はその日。

.

Story...22→←Story...20

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す