幼女といくブラック本丸

その25 ページ26

山姥切と別れ、歩みを進めると、またまた一振りの刀剣に出会った。

宗三「……歌仙。」

歌仙「やあ、あの時ぶりじゃないか。主。」

歌仙が大量の花を手に持ち、審神者に微笑んだ。歌仙は審神者と陸奥守、小夜が始めてここにきたとき以来の再会だ。

A『……お花。』

歌仙「これかい？これは、生け花ように摘んだ花だよ。よかったら見ていくかい？？」

宗三「そういえば、あなたの主は千利休の弟子さんでしたか？………。」

歌仙「間違ってないさ。ついでにお茶も出そうか。僕が作った湯飲みでお茶を入れて、僕の生け花を見る……。風流だと思わないかい？」

歌仙にも敵意はないことを確認した宗三はついでにここで生け花や茶器のことについて審神者に教えようと思った。

宗三「主、丁度いい機会です。歌仙の生け花をみてやり方を学びましょう。」

青江「君は厳しいね？」

宗三「何を言いますか。この先、知ってて損はありませんからね。僕より雅がわかる人に手本を見せてもらいましょう。」

歌仙「決まりだね、さぁ。中にどうぞ。」

歌仙は審神者たちを部屋に招き入れた。歌仙の部屋は和風住宅みたいな部屋で掛け軸や高そうな壺、障子にはうっすらと桜の花片が描かれていた。

堀川「凄い部屋だなぁ……」

堀川は部屋に飾られている盆栽をまじまじと見ている。審神者たちは歌仙が用意した座布団に座る。

歌仙「人に見せるのは始めてだから、あまり期待はしないでおくれよ？」

歌仙はそういうと審神者たちの前で花を生けて見せる。手慣れた手つきで花を次々と生けていく。審神者は無意識に魅入っていた。

歌仙「まぁ……こんなものかな？」

綺麗に生けられた花たちは喜ぶかのように風に揺られ、自らを輝かせる。その存在を、姿を。
まるで目の前にいる歌仙そのものだった。見た目は地味であれ、中身は眩しいぐらいに輝いている。

宗三「主、これが生け花です。」

歌仙「生け花はただ、花を生けるだけじゃだめだ。組み合わせを考えて生けたり、自分を現す生けかたもあるのさ。そして、最終的にできた作品が……風流であり、雅なのさ。」

歌仙の言っていることはまだ小さい審神者には難しい話だ。だからこそ、宗三は歌仙の生け花をあえて審神者に見せたのだ。

青江「なら、この作品は君を現してるのかい？」

歌仙「そうとも言えるし、そうでもない…かな？」

歌仙は生けた作品を棚に置き、飾った。

宗三「歌仙、主の教育係を一緒にやりませんか？」

歌仙「………僕は」

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