縁側の幸せ2 (ページ9)

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prrrrr…prrrrr…

『はい…どうしました？』

いつの間にか眠ってしまっていた私はフロントからの電話で目を覚ました

「A様、只今お知り合いという方がフロントに来られていまして、中村様ご存知でしょうか？」

まだ寝ぼけていた頭で、中村さんが来た？あの着信で邪魔されて連絡つかなかったからかな？と思い部屋に通そうとした時に、ハッとした

中村さんには昨日ホテルまで送ってもらった
着いてきてくれたのは外までだけれど
予約した時に部屋の番号も伝えたはず

中村さんじゃないかもしれないと気付いた時
総毛立つ感覚に襲われる
喉が詰まった様に息がしにくい
それでも声を振り絞ってフロントマンに答えた

『その人ストーカーだと思います、絶対上らせないでください。お願いします』

絞り出した声は涙交じりになって
ただただフロントマンがあいつを抑えてくれる事を願うしかなかった

水でも飲んで落ち着こうと震える手でペットボトルの蓋を開けた時

ピンポーン

部屋のチャイムが鳴る
私は飲もうとしたそれを手放して足元が水浸しになった

恐る恐る部屋の扉まで行って
音を立てない様にドアスコープを覗く

『えぇ…どういう事…？』

恐怖と緊張感が解き放たれた瞬間に情けない声を出しながら扉を開ける

「…っ大丈夫…？」

そこには一瞬驚いた後心配そうに私の顔を覗き込む中村さんが立っていた

「ちょっとごめんね」

体の力が抜け、顔は涙でぐちゃぐちゃ
足元はビショビショの私を抱き上げて部屋の奥まで連れて行ってくれる中村さんにされるがままになるしかなかった

状況を飲み込めないままにソファに座らせられた私を横目に、溢した水も綺麗に拭いてくれてさてと、と中村さんも向かいの椅子に腰を下ろした

「何があったの？」

落ち着いたトーンで、大丈夫だと言うような優しい目でこちらを見る彼に、また涙が溢れる

好きだ、なんて自覚をこんな時にしてしまう自分を恨んだ