縁側の幸せ2 (ページ7)

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次の日の朝
予定よりも早くに目を覚ます
昨日は随分と揶揄われたけれど久しぶりに楽しかったな、と自然と笑みが溢れた

今日は仕事の日だ
幸い仕事場の近くのホテルが取れたから、ゆっくりと準備をして上司に電話をかけた

「もしもし？どうしました？」

『あの、もしお時間大丈夫でしたら近々お話出来ないかなと思いまして…』

「あぁ、今日は比較的暇だから大丈夫ですよ。Aさんの勤務終わりの時間にそちらに向かいますね、12時で良かったかな？」

『はい、大丈夫です。ありがとうございます』

上司との約束を取り付けて電話を切る
あとは現状を説明して、仕事を続けても構わないかお願いするだけ

『気が重いなぁ』

迷惑をかけるかもしれないのにお金もあるのに働く必要ある？なんて考えているけど、職場の人も仕事内容も気に入っていて辞めるには寂しすぎる

それに、あいつのせいでまた何かが奪われるのがとてつもなく嫌だと感じているから頑張るしかない
スマホと鍵を鞄に突っ込んで少し早いけれど職場に向かう事にした

職場について談笑をしながら今日のやる事を確認して各々が持ち場へとついていく、私も黙々と業務を終えて皆を見送った後上司を待った

「それで、話って何かな？何か困ったことでもあったかな？」

優しく問いかけてくれる上司に私の今の状況を説明すると、みるみるうちに険しい顔付きになっていって
これはダメかも、と頭によぎる

『私としてはまだ働きたいんです、仕事も一緒に働いている人達もとても好きで…ただ職場に絶対にその…ストーカーが来ないとも言い切れないので…ご迷惑になる事もあるかも分からないですし、会社の判断に任せたいなと思ってます』

「うーん、僕は職場に迷惑をかけられるなんて事は気にしなくて良いと思うよ、悪いのは君じゃない。
ただね、Aさんは大丈夫なの？家は引っ越すと言っていたけど職場も知られてるんじゃ怖いだろう？」

『怖くないと言ったら嘘になりますけど…』

「よし、こうしようか！ビルの警備の方にも話を通しておくから、背格好や特徴だけでも教えてくれるかな？元々セキュリティはキチンとしてるビルだから大丈夫だとは思うけれど、念のためにね」

そう言ってニコリと笑う上司の頼もしさに
自然と涙が溢れそうになる

何とか涙を堪えて紙にあいつや私の家族の名前、特徴なんかを書いて説明して、上司に頭を何度も下げて感謝を伝えた