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『もしもし中村さん?テレビの準備出来ましたよ』
「分かった。すぐ行くね」
そう言って電話はすぐに切れたが、1分も経たないうちに玄関のベルが鳴った
「お邪魔します」
『どうぞ』
さっきの事なんて無かったと思う程自然に振る舞う倫也にAも少し安心して部屋へと案内する
倫也には先程届いたリビングのミニソファに座ってもらいAはちょうど沸いたお湯をドリッパーの上からかけていく
「コーヒー淹れてるの?」
『はい、中村さんのドラマ見て影響されちゃって…あのコーヒーめちゃくちゃ美味しそうなんですよね』
「あぁ、あれか。見てくれたんだね?」
『はい、DVD BOXまとめ買いしましたから!一気に見ました』
「あはは、ありがと」
コーヒーの淹れ方をドラマで言っていた通り忠実に再現して、2杯分マグカップに移しリビングのテーブルへと置いた
『どうぞ、初の試みなので美味しいかどうか分からないですけど』
「いただきます」
美味しいよ、と倫也が言うと嬉しそうに笑ってお礼を言ったAは、テレビをつけてサブスクアプリを起動させた
『本当に私が見たいやつで良いですか?』
「うん、良いよ。俺はなんでも」
『ありがとうございます』
そう言って起動させた映画はミステリーホラーもので2人とも真剣に見入っていた
「結構面白かったね」
『そうですね、見れて良かったです』
2時間と少しの間姿勢もほとんど動かさずに見入っていたAは、軽く伸びをしてから倫也にと新しくコーヒーを入れ直した
「ありがと。Aは本当に気がきくよね」
『主に飲食に関しては、でしょ?』
「いや、昨日のキッチン掃除なんか凄かったよ」
『それもまぁ…唐揚げ食べたい!でも人様のキッチンでそんな事迷惑だ!っていう私の食に対する葛藤がそうさせただけですよ?』
「そっか、確かに。言われてみたらそうかも」
クスクスと笑いながら言う倫也に、Aは出会った頃の事を思い出した
そんなに昔のことでは無いのに、色々とあったせいか懐かしく感じる
「1番最初に家にお邪魔した時も、その後も毎回何かしら食べてた気がする」
『いや、それは中村さんがご飯時に来るからですよ?』
「そうなの?それは失礼しました」
笑いながら2人で懐かしい話をした後、時計を見ると17時になっていて倫也はAに夜ご飯を一緒に行かないかと誘った
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作者名:村民 | 作成日時:2023年2月17日 17時