縁側の幸せ2 (ページ35)

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『あ！』

「どした？」

『あー、いや…何でも無いです』

お酒も飲み切った頃に突然Aが何かを思い出した様な声を出したが、倫也には知られてはいけない事なのか言葉を濁して誤魔化した

「何でも無い事ないでしょ、なに？」

『えー、笑いません？』

「何？面白い話なの？」

『あの、布団注文したって言ってたじゃ無いですか』

「うん、言ってたね」

『あれまだ届いてないなーって』

「今気付いたって？」

はい、と罰が悪そうに答えるAを見て倫也はまたクスクスと笑う
注文したサイトで確認した所配送日が明日になっている様で、今日届く事は不可能の様だ

『まぁ、何とかなるか』

考えるのを諦めたかの様にグラスや食器をシンクへと運び洗い物を始めるAに倫也は呆れた様に笑った

「ならないでしょ」

『なりますよ、座椅子はありますから。ぐーんって倒せば寝れない事もない！』

「A酔ってるね」

『酔ってると思います？』

「うん、Aって酔うと良くも悪くも寛容になるから」

『そうですかね？』

そうだよ、と笑いながら言う倫也にAも釣られて笑い出した

「今日はうちの布団使う？」

『え？』

「俺ソファで寝るから」

『それはダメです、本当に大丈夫ですから』

「そう言われてもな、布団無いのに帰せないよ」

Aはこのタイミングで思い出した事、倫也に言ってしまった事を後悔しながらもこれ以上迷惑をかけるのはダメだと拒否し続ける
お互い譲らずに話は平行線のまま、これでは埒があかないと倫也は欠伸を噛み殺しAの肩を抱き寄せた

「じゃあ、一緒に寝る？」

『いや、何言ってるんですか』

「俺は良いけど」

倫也の真剣な表情にこれは本気で帰ってはいけないやつだ、とAは悟り頭を巡らせた

『…それなら私がソファお借りして』

「それはダメ。俺はソファで寝るか、Aと一緒に布団で寝るかどっちかだよ」

仕事続きで疲れているであろう倫也が先程から眠そうにしているのを気付いていたAは、早くどうするか決めて寝かしてあげないと、ソファで寝ても疲れは取れない、しかし一緒に寝るのも…と焦っている