4話 ページ6
あ)「鶴丸さー」
鶴)「んー？」
あ)「おばーちゃんとさーいつから知り合い？」
鶴)「んん、いつだったかなぁ」
2人で神社の掃除をしながら話す。
ビューっと冷たい風が吹き、縮こまる。
あ)「はぐらかさないでよー」
鶴)「…何で、そんな聞くんだ？」
ちょっと、言葉につまる。
…昨日の、2人の雰囲気を見たから、なんて言えないよなぁ。
あ)「あーっと、おじいちゃん！おばーちゃんの旦那さん、知ってるかなーって」
それは、前から思ってた事である。
私は、おじいちゃんを見た事がない。
とゆーか、お父さんも覚えてない。
鶴)「…」
あ)「ねー…」
びっくりした。
鶴丸が、悲しそうな顔をしていたから。
あ)「鶴、丸…？」
おじいちゃんを知っててのその顔なの？
鶴)「ぁ…いや。…どーだったっけなぁ」
その顔は。
”そう言えばそうだった”と、再確認してるようだった。
あ)「そっか」
それ以上、聞いてはいけない。
そう物語っていたから、やめた。
それ以来、一切口に出すのはやめた。
…あんなに、悲しそうな顔は見ていられなかった。
あ)「おばーちゃん。手伝うよ！」
ウ)「…ありがと」
いつも、美味しいご飯を作ってくれる。
覚えなさい、と言われたけど、破壊的だったため、おばーちゃんに諦められた。
だから、こうして、手伝う事しかできない。
あ)「おばーちゃんの味噌汁、好き〜」
ウ)「これかい？これはね、味噌が特別なんだよ」
そう言って見せてくれた味噌は、特に特別には思えなかった。
ウ)「…思い出の、味噌なんだよ」
大事そうに見つめる味噌に、どんな思い出があるんだろう。
気になったけど、おばーちゃんが幸せそうだからいいか。
ウ)「味見を頼むよ」
あ)「はーい。…ん、美味しい」
ウ)「そうかい」
…あれ。
何か、忘れてるよーな…
鶴)「ジー」
あ)「あ！鶴丸だ！」
鶴)「酷いじゃないか！俺を忘れないでくれよ！」
あ)「わ、忘れてないよ！」
忘れてたけど。
ウ)「国永、運んどくれるかい」
鶴)「お、美味そうだなぁ。任せな！」
あ)「…調子、いいんだから」
おばーちゃんの言葉には、すぐに動く。
私じゃ、反論するけど。
ウ)「…あぁ見えて、国永は寂しがり屋なんだよ」
あ)「嘘」
おばーちゃんは、笑いながら首を振る。
ウ)「昔っから、そうさ。…だから、A。国永を…頼んだよ」
あ)「え？う、うん…」
まるで。
もうすぐ居なくなるような言い方をする。
ウ)「さ、食べよう」
嫌な不安が蝕み、怖かった。
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作者名：なーこ | 作成日時：2017年3月6日 17時
