検索窓
今日:15 hit、昨日:7 hit、合計:131,367 hit

26話 ページ28

呼ばれた刀剣男士が前に出てきた。
彼が、山姥切国広。

鶴 乱)「「山姥切/山姥切さん!」」
二人の呼びかけにビクッと肩を震わす。
それから、二人と、杏奈さんを交互に見た。

わけがわからないと言うふうに。

杏)「…国広だけ残ってくれるかな。後は…ごめんなさいね、席を外してくれる?」

加)「でも、主…」

杏)「大丈夫大丈夫。ただ、話すだけ」
杏奈さんが柔らかく微笑めば、清光さんは黙る。
それからキッとこっちを睨んだ。

まるで”傷つけたら許さない”とでも言いたげに。
あぁ、愛されてるんだなぁ、杏奈さん。

ここは、暖かい。
春の陽だまりの中のように、心地よい。

ようやく二人と三振が揃った。

杏)「国広、前の二人に見覚えがある?」

山)「……あんたがそうやって話すって事は、前の主と関係してるんだな」

鶴)「…久しいな、山姥切」

乱)「…元気そうだね」
ぎこちない。
それはもう、触れたら壊れそうな程。

脆く柔く繊細はガラスみたいに。
腫れ物を触るかのように…探る。

山)「…なんの用だ?」

鶴)「あ、あぁ…そうだな…」
鶴丸は言いにくそうに口ごもる。
今日ばかりは、乱もフォローできないでいた。

あ)「…貴方を引き取りたい」

杏)「なっ!?」
ガタン、と机に手を置き立ち上がった。
その拍子に、お茶が溢れた。

杏)「…どんな気持ちで…っまた!あんたがこの子を…っ」
多分、勘違いをしてる。
私が前任だと思ってる。

山)「…やめろ」

杏)「国広…でも…」

山)「…おれはこの女を知らない。こいつは、前任でもなんでもない。…鶴丸国永と乱藤四郎のみ、元主の時の仲間、だ」

杏)「…それは失礼しました」
やっぱり。
私を前任だと思ってたんだ。

山)「…どうして引き取りたいんだ?」

あ)「鶴丸が、会いたいと言ったから。もう一度、やり直したいと願ったから」
ただ、それだけ。
どうせ仲間が増えるのなら、元仲間と幸せになりたいだろう。

あ)「…私は審神者になって2日目です。鶴丸と乱しかいません。…貴方を三振目として、迎えたいと思ってます」

ここまで言ったらもう。
趣旨は伝わっただろう。

後は、山姥切国広が決めるだけ。
彼の表情はフードでよく見えない。

が、考え込んでいるようだ。
隣の二振からは、息をころした音が洩れる。

山)「……すまないが、断らせてもらおう」
うん。
なんとなく、分かってた。

杏)「国広…」

山)「俺は今の主に救われた身だ。この身を最後まで、主に仕えたい」
杏奈さんはポロポロと泣いた。

27話→←25話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (47 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
105人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:なーこ | 作成日時:2017年3月6日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。