21話 ページ23
泣くこともせず、その目は怒りと悲しみと諦めた顔をしていた。
どうしようもないんだって、分かってるんだ。
この子は、見た目よりも随分と大人なんだ。
鶴)「…そうか。すまなかったな」
乱)「謝られたって、今更だから。だからボク、何も知らないんだ」
言葉にできる事じゃない。
私が口出すべきじゃない。
だって。
私はそんな状況に陥った事がない。
理解なんて到底できないし。
気持ちなんか、わかんない。
あ)「…じゃあ、もう一度、作り上げようよ」
乱)「…はぁ？何言ってんの」
あ)「今度は”幸せな”未来を作ればいいじゃん」
黒さんが、言ってた。
今の私は、第3の人生の私だと。
乱)「あのさ、ボク、あんたを主なんて思いたくないんだけど。ボク、あんたが大嫌い」
あ)「うん。だから”主”なんて思わなくていい。うーん、そうだなぁ…シェアハウス的な？」
鶴)「シェアハウスか。なるほど」
乱)「しぇ…は…？」
あ)「シェアハウス。共同生活。皆で、一つの家に住んで好きに生きるの。家族とか主とか関係ない。みーんな、友達！」
昔から。
兄弟がいない私にとって、”大勢で住む”事は憧れだった。
そんな時、知った言葉はシェアハウス。
どうせ現代なんか戻れないんだし。
やりたい事をやればいい。
そーゆースタンスで、いればいい。
乱)「…結局、あんたと住むんだ」
あ)「利用すればいい」
鶴)「…」
あ)「私を、利用すればいいじゃん。利用して、兄弟を手に入れて、幸せに暮らせばいい」
そのぐらい、貪欲にならなきゃ。
欲しいものがあるなら、何をしてでも手に入れなきゃ。
乱)「…あーもうっ！分かったよ！住むよ、住めばいいんでしょ！？…あんた、疲れる」
あ)「あっはっは〜！私の大勝利〜」
乱)「あーはいはい。で、ボクの部屋は？」
あ)「好きにしていーよ。決めたら、表札書いといてね〜」
わかった、と言って出てってしまった。
残るのは、私と鶴丸の二人きり。
鶴)「…利用とか。悲しい事言うなよ…」
あ)「本当の事だから」
別に、悲しくなんてない。
だけど。
あ)「鶴丸だけは、私の家族でいて。変わらず、ずっと。…おばあちゃんが好きな”鶴丸国永”でいて。私達家族を…忘れないで」
鶴)「なっ。君、知ってたのか…」
あ)「当たり前じゃん。ただもれ」
鶴)「そうか。……わかった。忘れない」
あ)「…ありがと」
これから。
どれだけ増えたとしても。
私は”御堂A”でいたい。
御堂ウメの孫で。
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作者名：なーこ | 作成日時：2017年3月6日 17時
