13話 ページ15
あ)「鶴丸。私、審神者になるよ」
鶴)「…ここは。どうするんだ？」
あ)「…おばあちゃんには、悪い事をしてしまう。後、ここに宿る神様にも」
鶴)「俺のせいか？…俺の事は気にするな。十分、楽しませてもらったからな！」
気にするな、と。
笑った笑顔は、嘘臭かった。
あ)「…違うよ。決めたの」
鶴)「ダメだ。審神者になるな！ウメにお前を頼まれたんだ…！」
あ)「…最後の5振り、探そ？」
鶴)「ウメが守ってきた場所を、手放すのか！？」
あ)「…おばあちゃんには、悪いことをしてしまう。だけど、おばあちゃんなら…」
鶴)「簡単に、手放すな！」
ガッと、肩を掴まれた。
…痛いなぁ。
簡単に手放すな…？
あ)「…っ簡単なわけ、ないじゃん！」
ギュッと掴んでた手が、緩まる。
あ)「でも…っ鶴丸がいなくなったら。…私、絶対後悔する」
目を逸らし、口を開けは閉じてる。
あ)「…さっき、鶴丸は”代わりがいる”って言ったよね？……私には、”鶴丸”は1人だけ。貴方しかいないんだから…っだから、たがら…1人に、しないで…」
いなくならないで。
自分を、犠牲にしないで…っ。
鶴丸は、反論する事なく。
掴んでた手も離すようになった。
鶴)「…すまん」
そう、一言だけ発し、ふらっと行ってしまった。
鶴丸が居なくなった事で、我慢してた涙が溢れた。
おばあちゃんね約束を守れない。
自分は無力だ、と。
…もし。
おばあちゃんの言う事を忘れてなかったら。
こんなに悩む事がなかったはずなのに。
今まで通りに、過ごしてたのに。
戻れるはずない”あの時”を、何度も願ってしまう。
あ)「…っごめん、なさ…っ…い…」
ごめんなさい。
それは、おばあちゃんにか、ここに宿る神様か。
何度も何度も”ごめんなさい”を吐き出した。
あぁ、どうか。
廃れないでいてくれますように。
眠れない。
最後になる、ここでの暮らし。
昔から、預けられていた。
いい事も、わるい事もここで学んだりした。
おばあちゃんの、後ろ姿を見るのが好きだった。
出来るはずない払いを真似してた。
神楽だって。
やっと出来るようになったのに。
……そうだ。
神楽だ。
泣きはらした目で、立ち上がる。
最後に、神楽を舞おう。
私の、願いを込めて。
目を潰り、イメージする。
願いを込めて、丁寧に舞う。
ここが、廃れないように。
長続きするように。
鶴)「…上手く、なったなぁ」
月明かりに照らされ、微笑む鶴丸は”神様”だった。
…儚いが、神々しくあった。
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作者名：なーこ | 作成日時：2017年3月6日 17時
