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1話 ページ3

……あぁ、もう。
バカじゃないの。

って、言ってやりたい。

「き、き、緊張してきた…」

あ)「咲也たん、リラックスリラックス〜」

咲)「う、うん!ありがとう!」
今日は彼、咲也たんの初舞台。
団員は1人と一匹。

お客は…ゼロ。
しかも彼はド素人。

ここ、MANKAIカンパニーには多額の借金がある。
今日の公演で稼がないと…潰れる。

のに。
この状況はもうピンチを超えている。

叔父さんが、任せてくれって言ったから任せたのに。
…ふざけてる。

沸々と怒りが湧いてくる中、唯一の団員、咲也たんだけが癒しだ。

咲)「何か、騒がしくない…?」

あ)「ん〜?気の所為気の所為」

咲)「でも…」

あ)「あ、もう始まるよー!はい、準備!頑張れ!」
騒がしいのは、知ってた。
…どうせ、あのヤクザだろう。

ま、叔父さんがなんとかするって言ったんだし、いーかない。

支)「じ、上映!」
バタバタと、叔父さんがかけてきた。
咲也たんの顔がこわばる。

私はダンボールでできたセットを準備する。
…時間がなかったとは言え、これは酷い。

が、私は不器用だから文句は言えない。
アナウンスが流れはじめ、更にこわばる。

あ)「咲也た〜ん」

咲)「な、何かな!?」

あ)「…舞台に立ったら貴方だけの時間。それは誰にも邪魔される事ない…至福の時間」

咲)「…え?」

あ)「さぁさぁ今宵も歌えや踊れ。まわって笑って飛び跳ねよう」

咲)「…っA、ちゃん…?」

あ)「…ってな感じでさ〜楽しむが勝ちだよね〜」
これは、中学生の時、やるはずだった演劇のセリフ。
…気に入ってるんだよね〜。

咲)「すごい……すごいよ!」

あ)「あはっ。ありがとう。…さ、時間だよー」
ポンッと背中を押せば、驚いてたけど、笑って頷いてくれた。
…咲也、頑張れ。

私には………出来ない舞台なんだから。




…っとは言ったけど。
いきなり、演技が上手くなるはずがない。

だけど…楽しそうなんだよね〜。
羨ましい、ぐらいに。

咲)「ありがとうございました!」
幕が下りた。
どうだった?と言わんばかりの咲也たんに、”楽しそうだったね”としか言えなかった。

それでも、嬉しそうに客席の方に行ってしまった。

あ)「さて、と」

支)「あ、Aちゃ〜ん、これ片付け…ヒッ」

あ)「なーにが”任せて”だ、この野郎。片付け?お前がやれや」

支)「ううっ。酷いよ〜…」

あ)「酷い…?このクオリティーのが酷いんじゃボケぇ。あぁん?」
いい歳こいたおっさんが。
泣き真似すな

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夢花 (仮垢) - またまたすみません、8話のとこ、「一様」じゃなくて「一応(いちおう)」ですぞ〜…こーゆーのって結構気になっちゃう性格でして(;´∀`) (2019年1月28日 19時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
夢花 (仮垢) - 7話の所、「どこかえ」ではなく「どこかへ」ですよ〜。その他所々脱字があるので、一度確認するのをおすすめします。こーゆーテンションの夢主ちゃん好きよ← (2019年1月28日 19時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なーこ | 作成日時:2017年3月2日 14時

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