溺れた魚

22話 ページ23

あ)「ありがとうございます」

「じゃあ、明日からよろしくねー」

あ)「はい」

バイト先が決まった。
家から少し離れたコンビニだ。

ちょっと時給は安いけど。
店長優しそうだし、何より人が来なさそう。

じゃあ、何でとったんだよって話だけど。
…何故か話してくれなかったんだよねー。

あ)「ただいまー。バイト先決まったよ」

厚)「おかえり、大将！こんびに、になったのか？」

あ)「そー。なんかゆるそうだった」

明)「はー。主はんたのんますなー」

あ)「明石さんだって働いていいんだよ？」

山)「そうだ。働け」

明)「はぁー、自分に「働け」言いますか？参りましたなぁ」

今日も寝転がる明石さん。
もはや、私のベッドを占領する。

その下に、国広が体操座りしている。
暑苦しい布は、私の目に毒だ。

あ)「あ''ー、厚だけだよぉ、私の癒し」

厚にひっつくと、お疲れと頭を撫でてくれた。
この優しさ、見習えよ国広。

あ)「明石さん、ずれて」

明)「はいはい」

明石さんの隣に寝転がるが、何せシングル。
とても狭い。

とゆーか。

あ)「落ちる落ちる」

山)「やめろ！俺の布を引っ張るな！」

明)「元気がよろしゅうことで」

あ)「ちょ、明石さん！あかし…おいこら明石！」

明)「明石、何も聞こえへん」

結局。
私は国広を巻きこんで落ちた。

勿論、国広の布は落ちて。
綺麗な顔が丸見えだ。

あ)「あー、腹立つほど綺麗な顔してるなぁ、おい」

山)「うるさい！早くどけ！重い！」

あ)「許さん。決めた、髪上げの刑だ」

山)「…っ。やめろ！」

あ)「あははは。ちょんまげ前髪ざまぁ」

近くにあったゴムで、国広の前髪を縛る。
ぴょんぴょん跳ねる髪は、ひよこみたいだった。

涙目の国広を、厚が慰める。
それを尻目に、明石が呟いた。

明)「うわえげつな…」

あ)「明石は、働く刑」

明)「はいはい」





明)「まじですやん」

あ)「いらっしゃっいませー。…ほら、明石、笑顔」

明)「…はぁ」

今日からコンビニバイトだ。
店長に、明石を紹介したら即OKだった。

だから。
制服を着て、一緒に働く。

今日は店長と私達３人だけらしく。
一通り教えた後、店長は裏に消えた。

わからなくなったら、聞けとの事だ。
…ゆるすぎない？

とりあえず2人で回し始めて、一時間。
たったの３人しかこなかった。

え、今昼だよね？
混まないの？

あ)「明石ー、笑わないとさー」

明)「やる気ないのがうりなんで」

音が鳴った。

あ)「いらっしゃーー」

「あ」

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